真昼の淡い微熱

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私にとってオウムとは何だったのか/早川紀代秀/川村邦光

本屋で麻原に惹かれた人って多いのかな?

今だったらネットか、とは、一概には言えないと思うけど。(あーでもイスラム国はめっちゃネット活用してるか)
まああれだよね……「貢いだから好き」みたいなもんだよね……。
あと「もう後戻りできない」と思わせる構造も。
全財産寄付して完全出家に至らせる。早川も始めは気楽なヨーガセミナーだと思ってたら「何回も受けるなら入会しちゃったほうが」と言われ入会したら出家主義にあてられ、と。
現世で具足された汚れを真我から払い落とし「本当の自分」へ覚醒すると。
情報遮断ってやっぱ人を盲目的にさせる。

葛藤する、んだよなあ。もう当たり前のこととして知っているけれども、世間はそう思ってないんじゃないか。世間のオウム観が気になる。
扉が閉まっていてくれと願い、開いてるとわかったら落胆した、とか。
自分の記述でオウムの内部を詳かにすることで少しでも罪滅ぼしになればと、上祐も野田も高橋も同じように考えてたけども、世間は、被害者は、オウムに絶対的な悪であってほしいんだろうなあ。
とはいえ林郁夫が死刑にならなかったのは被害者の許容もあったと聞くし、どこまで誠実さが伝わるかが大事?

やっぱどこででも一番葛藤がないように描かれるのは村井なんですよね……。もう死んだからその内面が明かされることは永遠にないという……。

なるほどね、「呪殺する能力がないから弟子に殺させた」と。「生き返らせられなければ呪殺もしてはいけない」と。そういう宗教的無知があってこそ麻原に従えた。
そいえば早川は普通に麻原の指示を直接聞いてるの、ね?
ポアしろっていう。じゃあ「又聞きばかりであった」って情報はこれなんなんだろ。調べないとわかんね。