真昼の淡い微熱

感想ブログ

評論・エッセイ・文化論他

死刑になりたくて、他人を殺しました/インベカヲリ★

・あとがき 取材対象がみんな無差別殺人犯の心理状態に理解を示したことで、「この気持ちを持つことはありうるんだ、否定されないんだ」と著者の希死念慮が消えた話がいちばんよかった。(担当編集者さんはいちどき希死念慮癒えた……だけなのも含めて。) セ…

男がつらい! 資本主義社会の「弱者男性」論/杉田俊介

杉田さん……。時期的に間に合ったか、間に合ってないかどうかと思って読んでたけど、最終ゲラ確認のときだったか。あの襲撃事件は。ジョーカーの話は山上に言及された記事を収録したものなのか?『非モテの品格』も『マジョリティ男性にとってまっとうさとは…

『AVについて女子が知っておくべきすべてのこと』/澁谷果歩 『AV女優ちゃん』1巻/峰なゆか

あーなんかこれはセットだな?相互補完。紗倉まなさんとか、戸田真琴さんのエッセイが好き。AV女優のこと、私も俗だから野次馬としての興味もある。のと同時に、無関係ではいられないのだという感覚もある。性の話がそもそも好きなのもある。月1性病検査が義…

なぜ幸せな恋愛・結婚につながらないのか 18の妖怪女子ウォッチ/ぱぷりこ

実はnote全課金してるくらいにはぱぷりこさんのファン。妖怪男ウォッチは買ってないけど。分析とプロファイル能力もさることながら言葉のセンスが最高。「愛情は経年劣化していくという減価償却の概念」とか「へそで茶が粉塵爆発するポエム」とか「1万本のネ…

映像の原則/富野由悠季

アニメ演出の読み方を理解しようという目的で読んだ。勉強になったけど忘れそうなことメモ、自分基準なので要約ではない。とりあえずイマジナリィラインて本当によくわからん……。とりあえず上手側にいた人と下手側にいた人を演出的意味もなく入れ換えて映し…

俺たちのBL論/サンキュータツオ/春日太一

基本的には期待通り面白かった。関係性のバリエーション、楽しみ方のバリエーション、余白の楽しみ、「かわいい」の考察。「恋愛による醜さのCG回収がしたい」には膝を打った。私はみじめったらしさをさらけ出す男が見たいからBLにそれを求めに行く。男女で…

マンガ・特撮ヒーローの倫理学/諫山陽太郎

★とは因果論の輪廻からやの助けを得て修行しとなって解脱すること。★とは異世界(死の世界)からの使者によって真善美が黄金比を持ってこの世界の倫理が活性化すること。真と善とが美によって繋がれることで完成する異世界は倫理的価値観をもたらす★真善美とは…

ヘンな論文/サンキュータツオ

面白い。こういう、ヘンな、誰もそんなことしないだろ!っていうことやってる人とか、好きなものに多大な熱をかけて惜しまない人、大好き。それを「論文」というファクターから見ていくタツオさんも凄いな、と思う。読んでて、去年やった歌詞分析をきちんと…

男しか行けない場所に女が行ってきました/田房永子

田房さんほんと発想がすごいなあ……。ガスコンロセックスとか、犬猫の中に一人だけ人間の女がいたから惹かれるとか、近藤の崖とか、10代男子の性欲の「微笑ましさ」とか。おっパブって気持ち悪いな……。なんだろう、他の風俗はそこまで思わなかったのに、おっ…

戦後少女漫画史/米沢嘉博

文化芸術はいつでも確立と破壊と構築の繰り返しですよね……。面白い。裕福な時代に「不幸」から「幸福の肯定」を描くようになったとか、学園ラブにも「外国など遠い世界」から「日常」へ引き降ろす試みがあったとか。それが物語の矮小化へと繋がり反動でロマ…

少女漫画ジェンダー表象論/押山美知子

男装の少女考察。面白かった。サファイアの男性性は表面行動に限られ、男性と明確に差異化する女性性の表象が瞳であり、そしてサファイアの本質は「目」=女性性であった、と。オスカルが中性的な容姿でいられたのは顔の記号の発展によるものだとか。オスカル…

妖刀 有安杏果論/からふね

結構知らないことあった。難儀な演技レッスンとか。酷評ですな~。愛するあまり、なんですけど。他の4人より声が個性的でないっていうのは、強引ではないか?素人目だからか?推しの贔屓目?充分に個性的だろうと思うのだけど……。ただ、声が細いとか小手先テ…

萌える男/本田透

熱いなあ、2005年だもんな、受け入れられてきた時期であるとはいえ「オタク=社会的弱者」ってイメージが固いしこういう角度のオタク論が少なかったんだろうきっと。宗教がなくなったから癒しを恋愛に求めるようになった、とかへえって感じ。なるほど恋愛が…