真昼の淡い微熱

感想ブログ

小説

零合 VOLUME.01

文章が苦手な『躯躯罹彾㣔記』以外は読んだ。して、がっかりした。 陶酔と死ネタと離別(行方不明)ばかり。これだから文芸の百合は好きじゃない。百歩譲って陶酔はよしとして。奇抜な設定、豊かな発想をするすると潤沢な文章でまとめあげる上手さが光れば。…

天使のはしご 全5巻/名木田恵子

ついに引っ越し時に処分→結局買いなおしに手を出してしまった。 青い鳥文庫……わたしの青春。 内容は全く覚えてなかったのに挿絵だけほぼすべて「み、見たことある!」って嬉しさが湧いて面白かった。 『若おかみは小学生!』の映画を見たときは内容の懐かし…

ラブセメタリー/木原音瀬

墓場か。書きぶりは心配してなかった、なにしろ木原さんなので。ただ一点敬遠してた理由は「小児性加害」の原因が「小児性愛」と誤認させる作りになっていそうだったから。実際の小児性加害は嗜好の問題として扱うより犯罪機会論として扱うことを遥かに重視…

流浪の月/凪良ゆう

おいおいおいおい凪良さんまじかよ…… え? これどっかで「彼の話」に転換してどんでん返しあるんだよね? 美化しすぎた更紗の陶酔に冷や水ぶっかかるんだよね? 凪良さんがまさか小児誘拐神話を肯定しかねない話書くはずないよね????? と混乱しながら読…

君は永遠にそいつらより若い/津村記久子

に、2000年代だ~……。モラトリアム……。文章は流れるように読める。主人公の自意識も適度である。イノギさんとの女同士セックスがセンセーショナルさを伴わないことが逆説的に鬱陶しいほど陶酔を感じる。独りよがりにはならない程度に、でもセックスが持つセ…

その日、朱音は空を飛んだ/武田綾乃

信頼できない語り手ばかり……!感想!長い!ずっと夏川莉苑について考えていてやっと噛み砕けてきた。「いじめ」を抱えているのかよ……。そこだけ唯一おばあちゃんの教えに背いたかもしれない夏川莉苑の汚点がアンケート結果なのか。好奇心と、復讐心。どちら…

乃木若葉は勇者である上下/タカヒロ/朱白あおい

機会があれば見ようと思ってたゆゆゆを偶然9月にdアニメで見て、偶然秋からわすゆの始まることを知り、たがわず毎週張り付き、百合の噂につられ銀ちゃんイベントからゆゆゆいを始め、偶然dアニメからもらったポイントが余りのわゆを購入……。流れるような偶然…

いまさら翼といわれても/米澤穂信

うっ……やられた……。千反田さん、なんだかんだいって館に戻ってくるのだという願望持ってしまっていた……。わからないように描かれてるけどあと4分。いまさら翼といわれても……!!奉太郎には説得できる資格も手札もない。やられたな~くそ~。そ!し!て!奉太…

王とサーカス/米澤穂信

衰えない鋭さ……。山場は殺しの謎解きシーンじゃない。そのあとだ。そのあとが米澤穂信だ……。荷車、荷車ね……。憎しみ。報道への、記者への、憎しみ。そして矜持。『真実から10メートル手前』の万智よりもずいぶん精神が幼い。報道に対する姿勢。匙加減うまい…

ゼーガペイン 喪失の扉

前から持ってたんだけど、前作『忘却の女王』がつまらなかったのもあるし、表紙のキャラがルーシェンに見えなくて何故か別の人「マオ」が主人公だと思ってたから愛着湧かないし、つまらなかったし、断念してしまっていた。ADPにより久々に取り出してきた……。…

犬はどこだ/米澤穂信

面白!かった!!寝る間を惜しんで一気に読んだ。真夜中だったからラストにぞっとしてうまく睡眠導入できなかった。それくらいの余韻が残る作品。私米澤さんの文章技術演出方法好きだわ……。GENという匿名人物へのびっみょうな寒々しい距離感を表現するのに「…

真実の10メートル手前/米澤穂信

あとがき先に読むタイプなので『さよなら妖精』かあ……とまず思ったけど、ほとんど筋忘れてるから万智と言われてもぴんとこなかった……勿体ない。……が、『ナイフを失われた思い出の中に』でユーゴスラヴィアの国名が出てきたときはうわあ……という焦燥感があっ…

リカーシブル/米澤穂信

うっっわあああめっちゃしんどくて面白かった……。米澤作品読むと自分の許容できる鬱としんどくなる鬱の種類がわかるな……。自我否定とか、「特別な自分というアイデンティティーの粉砕」系はいけるしむしろ好きですもっとやれって思うこともあるけどこれは………

聖の青春/大崎善生

この淡々と読みやすい文章が好き。ノンフィクションだそうだけど、将棋のことなにもわかんない私でも作中の空気を感じ取れていて、なんだか当時の将棋界や関西あたりの人情事がそのままパッケージングされているみたいだった。村山聖という人となり。常に死…

前世の記憶/高橋克彦

表題作は転生ものでした。残念。でもなんで人口の多いところで前世の記憶持つ人が多く現れるかとか面白かったな。無垢さと未練?「母さんと僕を殺したね」こえーよ!!昔この手の怪談話聞いて怖かったのか今でもその話強く記憶に残っているよ。そういうよく…

花まんま/朱川湊人

表題作すきだー!!いや前世ものだからなんですけど……。娘の死を何年もずっと引きずってごはん食べれなくなった父のもとへ届く花まんま……泣いた。だけれどもフミ子は前世の人格を引きずってはならない、そうはさせない!ということで未練の家族を駅で断ち切…

ハケンアニメ!/辻村深月

なかなか面白かった、です。なかなか。『SHIROBAKO』直前発刊らしいけど全く知らんかった。いやー、愛に弱いですね。香屋子も言ってるし、『SHIROBAKO』もまさに愛の物語でぼろぼろ泣いたから。それ以外なにも見えない、ただ愚直に一心不乱にのたうち回りな…

武道館/朝井リョウ

こう、この作品が書きたいものと、私が普段アイドルを消費して感じているものが乖離してて入り込めなかった。自分には合わない作品だったってことな。残念。ひたすら、「アイドルの恋愛禁止」への疑問提示と批判。アイドルを型に収めたいドルヲタの横面はは…

時計を忘れて森へいこう/光原百合

トレーナーを肘までたくしあげたその手首にも、時計ははまっていなかった。護さんの時計は空にあるらしい。p17好きな一文。苦しみを悲しみに蒸留とか、ほくろが笑い皺の中に消えるとか、あたたかな自然を切り取るやさしさとかは好き。話はめっちゃつまらなか…

魍魎の匣 中/京極夏彦

うーん……面白くない。下巻はぱらっと見て終わりにするか。しかし作者の投影キャラっぽいのは一体……。事件が複雑なような単純なような、でもあんまり興味持てない。もういっか。「なんとなく、魔がさした」から殺人を犯す、という動機付けは凄く好き。共感が…

追想五断章/米澤穂信

そんな面白くなかったけど米澤節だ。骨組み土台を緻密に作り上げて後味はけしてよろしくない。「図書館で蔵書が出されるのを待つ間」とか「電車の乗り換えシーン」とか、なんか冗長だな?いるのかこれ?って描写が目立ってたけど、芳光の冴えなさを演出する…

一九八四年/ジョージ・オーウェル/高橋和久訳

はー……。なるほどそりゃあらゆるところで引用されまくるわけだわ。今でも尚褪せぬ普遍性。怖いもの。うわあ安倍だとか思える、現実を転写しうるディストピアの片鱗が怖い。ディストピアものは現行社会批判を内包しているものですけど世界中いつでもどこでも…

ハイ☆スピード! 1/おおじこうじ

『Free!』二期終わった後買ったけど積ん読してた。買うほどではあるが、読むのは先伸ばしてた程度の微妙な興味だったんだよ鮮度高いうちに読めよって感じだ。2巻も買ってたから読まなきゃ……映画公開までに……。なんとも平坦、そういう印象。あくまで『Free!』…

魍魎の匣 上/京極夏彦

別につまらないわけではないけど特別面白くもない。評価保留って感じだ。中下巻も読まないと。登場人物には色があって中々好き。とりわけ木場が良いな。抜けている感じ。外を取り繕って、中身の空虚な自己イメージ。しかし何故百合小説ってこう自己陶酔に走…

柘榴姫社交倶楽部/水城せとな/樋上公実子

こういうテイストが好きな水城さん、安心する。ていうかリアルとファンタジーの変遷が面白い。リアル世界の中にファンタジーを持ち込む期(昔のBL)→リアルとファンタジー同居期(放課後保健室、黒薔薇アリス)→ファンタジーの中にリアル世界の混入(今作)ここ数…

閉鎖病棟/帚木蓬生

つまらなかった。ただただつまらなかった。淀みない、起伏のない、余生を過ごすだけの、日常。解説読んだら「精神科の患者がわたしたち以上に純粋でまともな心の持ち主だということに愕然とするかもしれない」とあって、なるほどそういう小説か、と。そんな…

砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない/桜庭一樹

あー。2004年。ネット小説にはまってた頃こういう雰囲気の作品いっぱい見たなー。小中学生の頃読んでたら好きって言ってたと思う。時期遅すぎた。いや今さら手に取ったのは百合と聞いたので……。でもそんなに好きなタイプの百合じゃなかった。子供が、サバイ…

ここがウィネトカなら、きみはジュディ/編:大森望

時間SFがこんなに人気なのって日本人特有なんですか。なんでですか。私も例に漏れず時間SFには目がないよ。とか言ってこれ1年積ん読してたけど。傑作選というか、入門編って感じだった。私のような初心者にやさしくバラエティに富んでいて面白い。「時間」の…

海と毒薬/遠藤周作

名作文学とか読んだの1年ぶりくらいだな……。遠藤周作初めて読んだしどういう話書く人かも知らんし、米軍捕虜解剖モノ、という知識だけ入れて読んだけど、描かれる「日本人の罪の意識」は心当たりにドキッとした。でも序章はなんもぴんとこなくて、解説読んで…

桐島、部活やめるってよ/朝井リョウ

ファフナー、幕が上がる。喜安さんつながりで読んだ。そんな期待せずに読んだらそこそこ面白かった。実果の話だけ浮いてて、逆に、これを書きたかったのだろうかと。普通に生活している人の中で普通に生活しているように見えて重たいものを抱えているという…