真昼の淡い微熱

感想ブログ

SEX EDUCATION Season4

お、面白かった。
うーーーーんこの最終シーズンはずーーっと「めちゃくちゃ面白いけど同じくらいもやもやする」が両立していた。
面白さと私が思う完璧さが完成されてしまったのがSeason2なので、3以降は完璧さが欠けていきつつも面白さは変わらず継続している状態だった。

私はSeason2の「白人男女がくっつくか?くっつくか?オーティス初挿入の相手はオーラじゃなくてメイヴか?……ルビーでした!!」が最高に痛快だったし、マイノリティの……というかマジョリティの描き方がいちばんよかった。

確かに様々なマイノリティ属性を描く意思は今回がいちばん見えてたし、オーがアジア系のスピリチュアル妖精じゃなくて人間として描かれてるのとかもよかったけど、マジョリティの描き方はうーーーん。
オーティスとエリックがずっと仲違いしてて悲しいシーズンだったけど和解がオーティス謝るだけであっさりすぎる……とか。


ていうかいちばんもやもやしてたのやっぱりオーティスとメイヴのカップリング取り扱いなんだよなーー。
メイヴはオーティスに何度も何度も失望させられてきたはずだし、メイヴを助けるのはいつだってエイミーだったりアイザックだったりジーンだったり兄の同居人だったりで、いつだってオーティスは頼るに値する伴走者じゃなくて足を引っ張るキレ男だ。
なのになぜ……いや恋人としての価値しかないから捨てられたのかと思ったほうが納得がいく……そうではないけど。
オーティスが最後まで自分のキレに向き合わないままなんかオーにも母にも丸くなっていてうーん。

アイザック、前回「このまま退場にはならねえよな」と思ってたからわりとメイン張っててよかったけど、エイミーとくっついたのはなんか恋愛させて片づけさせられた感がある……。
エレベーターと座り込みの件も、もうちょっとあの学校の校風と絡めて描いてほしかったというか、そうしないとあっさりすぎるというか。
まあ、アイザックが退場にならなくてよかったよ、本当に。
エイミーも受けた性暴力とずうっと格闘していて、受けた傷は昇華できるとすることも、消えないとすることも、どちらも嫌だけれど、これはこれで彼女の答えで。

アセクシュアルと明言されてないキャラは次々にカップル化していくのを見てまあもう頃合いなのかなと。それぞれみんなカップルだけで話が進んではいかないところはよかった。キャルが悩んで、最後にジャクソンと和解的な形になるし、エリックがそばにいるとか。
アダムと牧場の子はほんと別にくっつかんでほしかったよ。
まあそう、言うまでもないけどノンバイナリーのことが「女であることからの逃避」みたいに描かれない、そういうところは信頼してるんだよな。アビーとローマンが学校の人気カップルだったり、クィアであることの苦悩を殊更付されてなかったりキャラとして描かれていて。
オーラとリリーがいなかったのが残念。

ジャクソン母母がいっぱい出てきてよかったしその親子関係が丸くなるのはまだ受け入れられるが、アダム父もジーンも子供に許されて大団円というのももやもや~。
メイヴが母親へ複雑な感情を抱いたまま永遠の別れをするのはありだし、そういう落とし所になるよなと。
アダム父、愛では子供への不適切行為は免罪されないよ……。

今回はジーンのラジオがそれぞれよかった。最後のジーンとジョアンナの和解も。ジョアンナが結局性虐待を受けていたと認めるところも、そうだね、エイミーとはまた違う描かれ方で、幼い頃のジーンへの優越感としかし傷になってしまっている結末との塩梅も。。
セラピーへの過大な信仰というか、泥だらけ喧嘩のシーンのセラピー押し付けは暴力じゃね?とも思ったけど。
いや、ジーンとメイヴのセラピーシーンは本当によかったよ、手放しに。

そういえばエリックはSeason1あたり道化黒人マジカルゲイっぽかったけどすっかり一人の人間として馴染んでいたよね、アイザックもそうなる可能性は秘めていたのだな。
洗礼未遂のシーンが本当につらかった、打ち明けなくても、打ち明けなければ、コミュニティを失う、隠しながら洗礼を受けた仲間の気持ちも。
そういうものをオーティスと分かち合ってほしい、本当に理解することはできなくても。


とか、とか、面白さともやもや~。
これ以上続いても(というか、これ以上オーティスとメイヴのラブコメで引っ張られても)もやもやが大きくなるだろうからここらでよかった。

ドラマを通じて性教育の面ではルビーがもう圧勝でしたね。
Season1の「It's my vagina!!」は他の追随を許さぬ圧倒的名シーンだし、Season2のオーティスと一緒にアフターピル買いにいくところも大好き。
だからSeason4ラストの演説もよかった。
最初キャベンディッシュが極端に自由でリベラルな校風として登場したからいやまさか「実は極左で有害」方向には行かんよな、と思ってたらルビーが感化され輪に入るという。