真昼の淡い微熱

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追想五断章/米澤穂信

そんな面白くなかったけど米澤節だ。
骨組み土台を緻密に作り上げて後味はけしてよろしくない。
「図書館で蔵書が出されるのを待つ間」とか「電車の乗り換えシーン」とか、なんか冗長だな?いるのかこれ?って描写が目立ってたけど、芳光の冴えなさを演出するためだったのか……。?
芳光の物語がどう絡んでくるかと思いきや「非主人公の愁い」だもんな。


リドルストーリーを軸にしてきて、結末がわかってしまえば味気ない気分を体感させておきながら、最後に「夫婦間に愛があったかはわからない」という終わりはまあ美しい。

結局のところ叶黒白は自尊心に負けて可南子が真実を追えるようには遺してしまったんだよなあ。
そこで結末を入れ換えられるように細工をしたからといってその苦労は一目で見破れてしまうと。
いや、どっちを選択してもいいという配慮か。でも配慮する時点で選択肢ひとつだしな。
叶黒白の意図がいまひとつよく見えない。
せめて死んだあとでくらい溜飲下げたっていいだろうというところか。