真昼の淡い微熱

感想ブログ

群衆/木原音瀬/和泉桂/水壬楓子

和泉さんの作品で、なるほどな、なるほどな、と思った。
モブおじさんとして輝けるモブ……。


そして木原作品なんなんだよ……これは、降参です。
グロテスクなこっぴどい後ろ暗い性行為を描く木原作品でも、別に、なんとも思わないものだってある。露悪それだけをぶちまけられても引っ掛からないから。
でもこれは降参。苦しい。
張り詰めた人間たちの醜い心理と利己的利用と。よくもここまで剥き出しの恐怖と阿鼻叫喚の輪姦描写を彫りあげられるよな……。群衆。
そしてふと入る伏線の薄ら寒さよ。
なんというか、小柴がまじで真面目な良い人で(そりゃここに慈悲はないけども)小柴が語り手じゃなくてよかったと思ったし、というか語り手が被害者にならなくてよかった、だってそんな心理暴かれたくない。
結局明らかにラストの谷本はその報復なわけだが溜飲は下がりきんないし、「スカッとさせる描写」が嫌いな私でさえ嫌悪感も抱かないんだよな……当然の報いっちゃそうだし。でもスカッとなんかしないし。
その救いようのなさが本当に……好き……。