真昼の淡い微熱

感想ブログ

マギ33-34巻/大高忍

おお……運命をドストレートに問いかけてきた……。
力ではなく役割分担することが運命への対峙法になるってどういう意味になるんだろう?
ソロモンのやったことも悪ではないか、にアラジンの運命観はどう答えるんだろう、エゴにしかならないのかな。

なんかね究極エゴにしか辿り着かないんだよなと。
シンドバッドにしろアラジンにしろアリババにしろ。
「俺がしたい」「俺が嫌だ」。
個の重要性を説くからエゴがいちばんの説得力になる。
これがいつまで新鮮さを保って欺瞞にならずにいられるかには興味ある。
実際わりとマギ的全体主義観は私の本心で欲するところに近いので(と言ってしまうのも語弊があるけど)それを否定したあとの構築は相応の納得を望んでしまうな。
いやモルジアナの個の喪失をてこにしたことはすごくよかった……。
「いっぺん死んでみてから生まれ直そう」的時代の社会批評誰かやって。

4人でシンドバッドに立ち向かう、思想とか気とか合わないかれらがかれらのままで共闘できるのはよかった。
大同団結の理想形というか。大同団結志向足りないよね……。
せっかくいい作品なので民主主義信仰をもう少し削ってほしいなー。
安易に「バカで煽動されやすい大衆」を出すのは信用できないけどこの作品なら真っ当なさじ加減でそのへん描けると思うんだよな。

不意打ちでシバがワンカット出てきて泣いてしまった。背負わざるをえなくてでも明らかに器でなくて倒れていったあの子の魂がそれでも生きてるんだよ。
シバが象徴するのは母性ではないところが本当に……周到というか……父的な描かれ方じゃん。そういえばアラジンは父を殺さないんだなー。