真昼の淡い微熱

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進撃の巨人31巻/諫山創

進撃の、ロングショットの小ふきだし演出好きなんだよなあ……。
対立価値観すべてをカバーしている感、それがわざとらしい形に収まらず物語として活かしていく骨太さ、ナンバーワンである。

「俺たちは被害者だ、そうだろ?」て言うジャン、母を救いに行く正しくなれないコニー、エレン個人のことでいっぱいないっぱいなミカサ、エルヴィンが生き延びればよかったアルミン、世界を敵に回しさえしたのに壁内の人を殺すしまた分断を生むエレン、すべてカバーされてるのに全然軸ぶれない強度よ……。


でもジャンお前は結局いつもそういう役回り……。
なんかほんと進撃、タナトスはあるのに、それが全面的にあふるるのを許さない、希望を満たさなければならない使命感がすごい。
アルミンの自殺未遂。こんなタナトスを意志に転換させるバイタリティが怖いよ。(そして泣くのだった)


ガビとカヤの「和解」、よかった。
サシャを求めるカヤを助けるガビ……もよかったし、そもそも全体の流れにおけるこの展開の配置もよかった。
大ゴマは使うし、サシャの回想も入れるし、あのガビが命を賭けてエルディア人を救うことも強調されるし、カヤがガビを守る、のに、大局の中ではその抱擁は些末なことでもあるんですね。(互いに反射的な行動であり)
ここでも(ミディアム)ロングショットが使われる……。
進撃の「絶望、それでも」の扱い方は天才的。

死に損ない心身ぼろぼろライナー、起きた途端に「世界を救うぞ」て巻き込まれるのかわいそう。
最後まで生き残って最終回モノローグ語りしてくれ。