総評、意義深いええドラマやった。
なにより「アセクは主役にならない」って言ってたアセクの友達がこの作品に出あえてよかった。
楽しそうでよかった。
ここまでアロマンティックアセクシュアルが「主題」になる作品がありえたでしょうか。
手法として、お約束ラブコメの踏襲をしていることは、当初換骨奪胎かと思った。
ラブコメ演出の脱構築をやろうというのか。
1話アバンで初対面の異性の一言にビビっときてまさに「運命の出会い……!?」からの主題歌バーンタイトルイン。
なのにその一言が「いると思いますよ、恋しない人間」。
テンション上がるよね、ハイコンテクストはさ。
しかし通して見ると換骨……奪胎……?
絶対に『逃げ恥』の二の舞いになるまいとはしている。が、その手法でいく以上、ラブコメミイラ取りがミイラになっていく感はたしかにあった。
二人の男に挟まれる三角関係とか。
んーでもなんかもはや非当事者が「とやかく」言うものではないなと思うんだよね。
なんやろ。
とやかく言ったっていいだろ、というスタンス取ってきたけど。
文句を言うなって話じゃなくて。
だって曲がりなりにも数自体は揃ってる百合を摂取できている私が荒野唯一の「Ace/Aro」主題作品を厳しく追及するのはもうためらわれてしまうというか……なんか……私も変わりましたかね……。
でも千鶴の扱いは無理すぎる(泣)(泣)(泣)
無理、まじでもうむり。
そもそも1話完全ノーガードで男女の話だと思ってたので女同士同居失敗で予定外にガツンと揺さぶられたし。こいつ咲子のこと好きやろとか想像する余裕さえなく取り乱し。
絶縁回も女と女の話(失恋)→女と男の話→女と男の話(帰る場所)という順番がもう耐えがたく。
まあ、まあ、抑えよう。
ちょうど10年くらい前の国内外LGBTs運動だってひどかったですもんね、恋愛推しが。アセク側にそれらの恨みだってありましょうよ。
千鶴が咲子のそばには戻らなかったことだけに安堵。
代わりにカズくんが「フられても友達でいつづけてくれる」、咲子にとっての「都合よさ」を引き受けてくれてどれだけよかったか。
都合のよいマジョリティ男性表象大好きだよ。
都合いいマイノリティ表象なんてやってらんねえからな。
2話、差別に対する怒りを描いてくれて「ああようやくやってくれた」と思った。私もやっと不満を持たなくて済むセクマイ作品に会えたかと思った。
だから6話?でマイノリティに「マジョリティのことも否定しませんよ」描写させたの腹立ったし悲しくなったな。
でも同じNHKドラマ『女子的生活』よりも遥かに誠実なので「諦め」ではなく「不満」という形に落ち着くのだった。
あっちはトランス女性レズビアンの存在きっちり描いてたし安易なシス男性との異性愛を否定してたのは良かったのだがなにしろトランスジェンダーからのミソジニーの描き方がきつくてな。
あと鬱病の扱いも最悪。
批評記事。
言うね〜。
でも『女子的生活』にこの水準の批評がつくかっていったらつかないと思うので批評を受け入れるだけのレセプターが『恋せぬふたり』にはあることは歓迎すべきだ。
この記事読んで思ったけど『SEX EDUCATION』の「全然理解していないことを痛感し、手厳しく非難されて反省する」をやるのが主人公の白人男性なのええな……。
『しまなみ誰そ彼』も『ズートピア』も被差別属性が差別して自己反省する描写だったので。
もちろんマイノリティもマイノリティを差別するのでそれら描写も必須なのだが。(反省はしてないけど『雨夜の月』『AV女優ちゃん』もか)
上野千鶴子の「ミソジニーは男性にとって他者蔑視だが女性にとって自己蔑視である」になぞらえばトランス男女にとっても自己蔑視となりうる。