真昼の淡い微熱

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月に笑う/木原音瀬

木原作品久しぶりに読んだな~。
えぐいと名高い『FRAGILE』がいまいちだったから合わないのかなーと思ってたけどこちらは面白かった。
単なる「えぐさ」はよっぽどでないと突き刺さらないからな……。


「守るとかいって自分に酔ってるだけ」「路彦はものじゃない」みたいな、ふとした価値観の提示に安心する。
酔ってるだけって指摘が、カップル間の関係へ発せられたものだったら尚良かったな~。

しかし逃避行になるとは思わなかったよ……。
なんて自然な流れなんだ。
信二の「助けて」にぎゅっと掴まれる……。

初め、ヤクザにあんな言い返せるいじめられっこ路彦に違和感抱いていたけど、一貫して路彦がそういう芯を持ってると見せるためなのねと理解。
そう、木原さんは「人間ってそう簡単に変わりやしない」と根性据えて見つめているんですよね。だからクズを描くのが得意だし、それが読者に受け入れられる。
信二ももちろんそうで、全然変わってないんだよ。最後の最後で路彦が死んだと確認したくないから自首して刑務所入るって自分本位な弱さ、さいっこうです。

そしてリバ。
リバ至上主義の私からすれば間違いなく今後信二が攻めることもあると思ってるけど、これは受け攻め逆転固定化という認識でいいのかなあ。
逆転は特にどうこう思わないとわかりきってるけど、受け攻め固定と同じくらいには好きなので普通に嗜みたいですよ。

あと地の文信二だけ名字表記違和感。信二って山田感ない。