真昼の淡い微熱

感想ブログ

オウム法廷連続傍聴記/佐木隆三

数多ある事件のひとつひとつの詳細を全然知らなかったな。
そんなこともやってたのか、みたいな。
そして私教団が具体的にどんな事件起こしたかにはあまり興味ないんだな……。
傾向は知ってるし、と思ってしまい読むの苦痛だった。
心理的背景やその移り変わり、社会的情勢と分析を重視してる。
まあそれには詳細知らないとなんだろうけど。

逮捕8ヶ月後に初公判とか傍聴希望者1000人越え3000人越え倍率50倍とか、20年前の社会の関心が窺える。
こないだ行った高橋克也公判余裕で抽選割れたのにな。

そしてやっぱり「家族」の闇が見えるぞ……。
林郁夫の妻が離婚しなかった理由として「片親は子供によくないと思って」「(医者を辞めて専業主婦となったため)離婚後の生活が不安だった」を挙げたり……。
出家するつもりなかったのに熱心な母親に騙され監禁されてその後母親を告訴したり……。

麻原の家族も機能不全説あるし、オウム事件は時代が生み出した病理っていうのは本当そうだよ。

ナルコやりすぎだね?そんなにして何したかったんだ?
監禁事件とかも、何が目的なのか全然見えてこなかった。
だって入会不希望者とか脱会希望者とか、無理やり引き留めずそのままサヨナラって人もいっぱいいたじゃん。
金か?という割にそうとも読み取れなかった。いや公証役場事件とかはその要因もあるっぽい?けど?
こういうのってどの文献にあたれば書いてあるのでしょう。

マハームドラー実践のために「グルの意思だ」と自我を滅却していくのが弟子の主なあり方だから、責任問題って難しいよね。
「いかにも麻原に罵詈雑言を吐くことこそ洗脳が解けた証だと煽られるが、麻原へ責任を押し付けずに自分のしたことの社会的責任を自覚して初めてマインドコントロールが解けたと言える」
みたいな著者の記述に、納得。
オウムに向けられる「マインドコントロール」の単語って全然実態を捉えない“思考停止”した言葉だと感じることが多いから嫌いだけど、これは受け入れられる。


これは途中経過を追った本に過ぎないから、いずれ、全記録も読む。
読みきれないと思うけどな……。