真昼の淡い微熱

感想ブログ

楽園追放 - Expelled from Paradise -

面白かった!!

前半は退屈だった。
説明台詞は頭を滑っていくしね。
加えてヒステリックでバカにした態度の女、そんな女を諌める余裕たっぷりの男。
アンジェラが加減を知らずに暴れちゃうけど失敗して不良に捕まったところをかっこつけた演出で助けるディンゴ、もうその構図、反吐が出る。
調子づいた女のモブレやん……。

アンジェラがあんまり露悪的(てか無知蒙昧)に描かれるものだから、地上を見下した口調で語られるディーヴァの素晴らしさが後で
「あんたさ、ホンモノの素晴らしさを知らないのか」
的に作中否定されるのだと思うと、「いやディーヴァめっちゃ良い所じゃん」と反発したくなって。

とまあ、前半はそういう描き方と退屈さに苦痛を感じていた。


しかし後半、「ディーヴァはメモリの奪い合い、社会の檻に入れられる」と明かされる星空のシーンから一転面白くなった。
世界の見方、価値観の広がりの追体験。王道だけど、そういう否定の仕方で良かった、と思った。
そこから一気に話が加速しラストまで駆け抜ける。

人ならざるものが人らしくあれるって演出弱いんだよ~卑怯だよ~。
フロンティアセッターかわいいよ。
ディンゴとの対話を楽しんで、
「宇宙は寂しいだろう。一人で飛びだして行ったら後悔してたんじゃ」「その観点はありませんでした」
これも価値観の広がりだ。
コミュニケーションの楽しさを知ったフロンティアセッターが宇宙で何を夢見るのか。
最後の最後、昭乃さんの『HAYABUSA』『Lost Area』が脳内に流れた。
ディンゴに誘いを断られて、「それは致し方ありません。ですが……」と続けてしまう未練がましさ……!!
フロンティアセッターかわいいよ。

「楽園」って皮肉の意味なのかなと思ったけど、水島さんと虚淵さんのインタビュー読んだら素直に受け取っていいみたい。
「メッセージは"多様化"」と聞いてびっくり。え、あれディストピアとして描いてるつもりなかったの?!
ならもう少しディンゴに「ディーヴァは自分には合わない、地上が合う」と言わせても良かったのでは。
いや「多様化」とは文脈的にはフロンティアセッターみたいな「人間」がいても良いでしょ、という話だったけれど。
そのへんに関しては王道だなあ、と思うので、もう一歩進んだ「社会に迷惑をかける存在がいてもいい」と言ってくれる作品が見たいなあ。
この作品で言えば役立たずで凍結されるパーソナリティ側の物語というかね。


アーハン好き!かわいい。
球体がメカニカルに変型していく映像わくわくする!
戦闘もかっこいい。
サンドワーム撃墜時の、スノーボードハーフパイプセクションを滑るようなカメラの動きの爽快さったら!
フルCGも凄かったね技術的なことはわかんないけど。CGでこんなに違和感なく溶け込むんだ。
なんか尻が人気らしいけどエロさで言ったらアンジェラの髪の動きの方がよほど印象的だった。エロいよあれ。