真昼の淡い微熱

感想ブログ

ハケンアニメ!/辻村深月

なかなか面白かった、です。
なかなか。
SHIROBAKO』直前発刊らしいけど全く知らんかった。


いやー、愛に弱いですね。
香屋子も言ってるし、『SHIROBAKO』もまさに愛の物語でぼろぼろ泣いたから。
それ以外なにも見えない、ただ愚直に一心不乱にのたうち回りながら特大の情熱を注ぐ、そういう愛に弱い。

ので第一章は何度も泣きそうになった。電車内でなければ泣いてた。
『もらった、と思った。』
とかさいこう。
アニメをつくる人の、アニメにかける、熱い心。


でも愛で通してくれはしなかった。
と私は思った。
タイトル通り軸は「覇権」。
最初は香屋子の王子で頂点取ったるぜっていう情熱があったから気にせず楽しめたけど、後にいくにつれ微妙な気持ちに……。
売り上げだけがすべてじゃない、だから最後はじめて出てきたタイトルに抜かされたりしたんでしょうけど、多くの人の記憶に残るか、という基準もなー。
個人の趣味だとも言ってくれたけどそれだけじゃな。
私は大切にしたいアニメは話題になろうがなるまいが関係ないしね。
「覇権」を狙えさえしないアニメだって毎クール好きで見て楽しんでるわけだし話題になっても見ないことのほうが多いし。
ただ作品を良いものにしたいというクリエイターの魂さえ読めればそれでよかったな。


あと、第一章はほんと全体的に熱かったけど、起承転結の転だけだめだった……。
ちょっと無知で言葉選びを間違えちゃった女子アナをあれだけ責めたてることないのに……。
あんなネットのでかい声みたいなのの代弁を王子にさせなくてもいいのに……。溜飲下がるわけないだろあんなん。


行城が悪役じゃないのすごく好きだな。
金も、そのための宣伝も、大事。食いものになるなら食えるものをって言う瞳、好き。
最初のイメージの反転。
リア充」宗森を蔑んだままにしないところも。

まあ並澤と宗森はいいんだけど香屋子と王子は恋愛に寄せてほしくないなー。
瞳と行城は完全にパートナーで好き。
第二章の仕事としがらみと人間関係の面倒くささが好き。