真昼の淡い微熱

感想ブログ

鋼の錬金術師 シャンバラを征く者

う、うわあ面白かった……。
アニメ版鋼は初めて見たんだけどこんな作品になってるなんて露知らず。
なので最初は転生パロだー?!って感じだったんだけどwiki見て背景把握。
こんな地に足つけた現世肯定。

エドがすっかり諦念を抱きつつ夢想に耽っている枯れたキャラになっていてさ……。
だからアルと再会しかつての「エドワード・エルリック」を取り戻してわちゃわちゃと兄弟喧嘩をする姿が泣けてしょうがなくて。こういうの弱い。

この夢と現実という世界。
凄いよな、本編であるはずの元生きてきたアメストリスを「夢でしかない」と物語が言い切ってしまう。
仮初めの夢のなかで、今のエドぴったりのオートミールを着けてくれるウィンリィと再会しアルやロイと錬金術で一緒に戦い生き生きとするエドがいるけれども、そこに戻ることを目指す話ではないのよ!?
その鍵となるのが第二次世界大戦前の錬金術のない世界であり、その世界を現実として生きるアルフォンスであり、見たこともない世界を夢見るノーアであり。

来てしまった世界「だって」現実、ではなく、来てしまった世界「こそが」現実だとするのが今作の凄まじいエネルギーであると思う。
もうエドオートミールを作って待つウィンリィはいないしウィンリィも夢見ることはない。
だからこそね最後アルが着いてきたのはずるいと思いつつ涙ぼろぼろですよ。
こそが、現実だから。
この戦争の足音聞こえるドイツで兄といることを選択したから、このラストは単なる夢物語を勝ち得たサービスではなく、現実を踏みしめた覚悟の肯定になったわけで。たとえそれが観客にしかわからなくても。

ブラッドレイ(の容姿の人間)と共闘するのはサービスなのかなー。アニメ版で彼がどうなってるかはわかりませんが。