真昼の淡い微熱

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真実の10メートル手前/米澤穂信

あとがき先に読むタイプなので『さよなら妖精』かあ……とまず思ったけど、ほとんど筋忘れてるから万智と言われてもぴんとこなかった……勿体ない。
……が、『ナイフを失われた思い出の中に』でユーゴスラヴィアの国名が出てきたときはうわあ……という焦燥感があった。

一番印象的な話は『名を刻む死』ですね。
構成すげえなあ。
「わかりやすい構図」で無理にでも納得したほうがいいときもある。気にしていたその理由。

全体を通してジャーナリズムとは、というテーマ。
『正義漢』なんか話自体は地味だけど万智の「いやらしい笑み」を問うことで性根と大衆根性が見えて物語の深みが増している。
ただの真摯な良いライターではない。考え続けなければならない。
記事を出すことで、貶めもするし、救われもする。