真昼の淡い微熱

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犬はどこだ/米澤穂信

面白!かった!!
寝る間を惜しんで一気に読んだ。
真夜中だったからラストにぞっとしてうまく睡眠導入できなかった。それくらいの余韻が残る作品。

私米澤さんの文章技術演出方法好きだわ……。
GENという匿名人物へのびっみょうな寒々しい距離感を表現するのに「エビスはサッポロ」「目が乾いた」「ぬるいビールをらっぱ飲み」……婉曲表現心に迫る。
徐々に事の次第が明るみに出てきて、ハンペーが電話を取ったときの鳥肌ときたら……そうだよこの構成力だよこの伏線回収畳み掛けだよ……。そしてそれは怪しいものや人が他にもちりばめられていたから隠蔽されていたことであり。

なにがしか後味悪いのだろうなあ、桐子が殺されるのはやだなあ、と警戒していたらこれだよこええよ……。
ほんとああいう「ホラー」を書く筆力な……すごいよな……。

桐子、警戒心強かったわりにネットに個人情報書きすぎじゃない?というのは気になった。桐子くらいならあれらが個人情報になりうるって判断できるはず……。
ただまあ、ああいうネトスト行為は今でもいくらでもできるからひとつの脅威としてね……ひとつも失いたくなどなかった……。
要素の絡み合いを実に堪能できた良作でした。