真昼の淡い微熱

感想ブログ

愛しのニコール/凪良ゆう

面白かった。好き。
けど!あともう一歩足りない……かなあ。
もうちょっと冷めてしまったニコの想いの再燃をじっくりやってほしかったかな。
冷めた展開に今後どうするのかわくわくしたから、そんなすぐに顔赤くなったりできるものであってほしくなかった。

うん……凪良さんの作品は一番好きな『美しい彼』ですらなんだかそういう物足りなさがあったからそういうものなんだろう……。
ただニコ視点だとかっこよかった榮に視点が移って急に器が割れて人間くささが露呈する構成とそれが絶妙に噛み合うキャラ造形はほんと上手いよなー。
「カード全部見せ」の榮くんめっちゃかわいーーーー。
こんな初々しいまでのゲイ自認×ゲイ自認BLあんま見たことないかもなあ。
ゲイ×ゲイってどうしても一山越えてきて多少の余裕が生まれた恋愛ものになりやすいから。いっぱいいっぱいの子たちが好きです。
いやめっちゃかわいかった。
濡れ場も長年のゲイと知れながら友達やってたふたりの初夜の空気感が出ていて。
惜しむらくは語彙があまりに貧困なことかなあ。ライトノベルにそういうこと言うまいとは思ってたけど……。
まあそれが榮のかわいさを演出していたりもするから一概にダメとは言えないんだけど。



しかし商業BL作家ならセクマイ勉強していてほしいよね!さすがに仕事にするならね!
凪良さんはちゃんと盛り込んでくれるから好き。「ノーマル」呼ばわり指摘してくれてありがとな。これ読者に向けた啓蒙よな。
だからこそこの「オネエ擬態が処世術」設定が書けたんだろう……つらい。
ホゲることこそ「本当の自分」扱いなー!好きな人が行きすぎたネタに乗っかるショックもその後怒ってくれるのもうんうん一喜一憂ジェットコースターな……疲れそう……。
このへんの設定があとに引いてくることをちょっと期待してたけどなかったな。
そしてこういう設定だからこそ「バーのママがオネエのアドバイザーでここぞというときドスを効かせる」ステロタイプにちょっとずっこけた。うーん。