真昼の淡い微熱

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不思議な少年1/山下和美

あーこういうオムニバス大好きなんだー。

しかもテーマが人間讃歌。
ちょっとわかりやすすぎるきらいはあるけど、私の大好きな「醜くてこそ美しい」という物語。
機会があれば少しずつ読み進めていきたい作品群ですね。
私の中では入江亜季ポジション。

しかし収録されてる3話はすべて、主人公が良い奴だから、もしこのままいくのであれば気にくわないかなって感じ。
弟殺しをしないことで、忌まわしい連鎖を止める兄は、構図として好き。弟はこれから罪悪感に苛まれる……?
2話めはゆ、百合では……!
ぶたれて安堵に微笑むってのが百合的に私大好きですよーーー!
はい!
ここで微笑んでしまうのはとてもずるい行為なんですよね。相手の怒りの行き場がなくなる。だから好きなんです。ずるい人間大好き。
それでも許してしまう主人公。
まあ大概主人公も社会的成功を得てますからね。成功者の余裕でしょう。

殺人を、殊に否定はしてないけど、結果的に「人殺しは人を守って死ぬ」というテンプレに沿ってしまうのは残念かな。
まあだから、そういう物語的な「救い」、悪く言えば「逃げ」に走っているところは見逃せなくて、3巻くらいまで読んで変わらなさそうであればやめてしまうかも。

おどろおどろしく不可思議な雰囲気はとても好き。
しわくちゃの老人が左半身だけ水に浮き音もなく川を流れるコマとか見とれますね。