真昼の淡い微熱

感想ブログ

音楽劇 蒼穹のファフナー

なんだろうか……面白かったんだろうか……。
どういう感情なのかよくわからない。
ところどころはめっちゃテンション上がった。
けど全体的に見れば話の核がよく見えず単なる原作ダイジェスト感ある……。
私は本来大好きな原作の他メディア版ってたまらないほど好きで、その楽しみ方は「なるほどそこを改変することでこれを軸にしてそこをそー演出するかー!うわああれをこの媒体でこう落としこむかー!」って感じなんだけど、それがあまりなかった。

核はブックレットにもあったように「存在と無の循環」「いなくなった者を忘れない」なのだろう。
だからこそ最後の「お前が覚えている限り僕は消えたりしない」は先のなるほどなー!に当てはまりテンション上がった。
今までの総括をそうするか、と。そしてこの一騎と総士はそういう言葉を必要とするのか、という面白さ。

けど、そこ別に補完してほしくないんだけど……っていうのが多くていちいち萎えた。
「お前はけして……逃げなかった」とか「翔子は……死んだ」とか、総士への謝罪とか。
違うそこじゃないんだよ!
未公開シナリオ補完はいいけど別にそれだけぽんと据え置かれてもああそうですかニヤリくらいしかできない……。

やるなら脚本の軸に絡めるとか、この作品なりの解釈を入れるとかしてほしい。
だから!あの!乙姫ちゃんの!「千鶴が芹ちゃんちに住むのがいいって」!!
あの破壊力やばいよなんなの芹乙!ああああああ。
芹乙かわいすぎたよね?芹乙推しすごかったね?
石川さんの芹ちゃんすごく良かった……今見ると感慨深いですね。

こういうのがもっとほしかった。いや百合がではなく独自解釈が……。
「人間は人間とだけでなく花や土とも会話しようとする」みたいな台詞から、おおそこ膨らますのか?軸にするのか?とわくわくしたんだけど結局何もなかったな。


最後の乙姫ちゃんが岩戸に戻るところとか残酷すぎないか?
いや原作通りだけど……ここの不満は初見時からずっと言ってるんだけど……。
乙姫ちゃんの「お母さん」という役割、原作では最初から透徹していたからこそその演出面を評価することで母性神イデオロギーを無理矢理無視できたけども、いきなり「お母さん」がくるんじゃ役割固定の残酷さ際立つな。
ここは改変してもらいたかった。

核が見えないっていうのはそういうところ。
このシーンって原作のあの前提がないと成り立たないよね?ってのが多くて、でも詰め込みまくるから全体像が散漫。
特に一騎のキャラ迷走しすぎて何がなんだか。
確かにファフナーは定型に押し込めてのち個性を出すやり方ではなく丁寧に描写を積み上げることでキャラを造形するから前提なしに切り取るのって難しいとは思うんだけど(だからこそ恋愛を押し出すことでわかりやすくしたんだろうけど)。
ならいっそどこかを切り捨ててしまってよかったのに詰め込もうとするから逆にこの一騎誰だ?ってなってしまった。




不満はさておこう。

とりあえず『terra』は爆笑しました。博品館にいた人耐えられたのかな……ハモったところで堪えきれなかったんですけど。

angelaを歌おうだなんて挑戦だよなあ。
しかし松本さんの『DEAD SET』からの「あたしここにいるんだよ」はこの劇で一番テンション上がった。
なるほどねえ!
真矢の切実さと変性意識の「強さ」を歌い方で演技に昇華させることで真矢の活躍が爆発するんだな!
また歌のチョイスが……これを真矢に歌わせるか。これぞ独自解釈だよ燃える。

そして『仲間』の戦闘ダンスでまりか様ウインクをばっちり抜くこの編集、最高。

劇だからこそアニメとは違って声を張る真矢新鮮だった。でもそこに乗せる感情や揺れ動く表情がほんとに真矢で。カノンとの会話とか松本さんすごいなあ……。

甲洋役の方がすごかった。
間の取り方も無感情に乗せる感情も叫ぶ切実さも表情の作り込みも紛れもなく甲洋だ……!
ていうかまばたきしてなかったよね?すごくね?映像の抜き方の問題?
立てこもり泣いたよう……。


なんか総→真→←一と真面目に三角関係してるの笑う。
やっぱり一騎と真矢ってパラレル世界だと途端に恋愛に陥るんですね。
ちょっと演出を変えただけでヘテロ恋愛やってる感すごい。そして一騎総士の互いへの執着ほぼ見えないからかすんなり受け入れられる。びっくりだ。
私が一真嫌なのは一総推しなせいじゃなく、「一騎と総士は男同士だから恋愛と見なされないのに真矢とだけそうなるのなら異性愛至上主義への屈服だろ」と思ってしまうからなんだなあ。つくづく憎いのはヘテロセクシズム。
特典の桜田さん磯村さんの「お前遠見のことどう思って……」は象徴的だなと思った。それを互いに訊いちゃうのがここの一騎と総士なんだわ。


そういえば石井さんの大人組デュエット推しってこの頃からなのねww
史彦紅音の『peace of mind』は確かにすごく染み入った。
あと『Remember me』好き。ていうか歌部分は全体的に好きだ。男女混声美しいなあ。
話の構成に歌を混ぜる手法すごい絶妙。乙姫ちゃんのコア様感すら歌で演出する発想。



なんか長くなっちゃうのよなやめよう。
もうあさって一騎生誕か……重いな誕生日。また2時に目覚ましかけて見て感情激しく揺さぶられて感想書く生活が始まる……。
まあ私生活のほうが忙しくなるのでさすがに1クールめみたいな長文感想にはならないと思うけど。
ていうか本編展開つらすぎて書けないかもしれないけど。