真昼の淡い微熱

感想ブログ

機動戦士ガンダムSEED

……選択必修として見た?HDリマスター版。
なかなか面白かった。まあ、全話完走できる程度には、なかなか。
要所要所の見せ場は引き込まれた。
特に23話『二人だけの戦争』はお気に入り。敵同士の一夜。キラを殺したと思ったあとのアスランカガリの憔悴感も好き……。

それだけにその後あっさりと「和解」して「俺が守る」に回収されてしまうのは……その台詞チョイスはカガリが女だからでしかないよね思考停止だね……この二人はもっと別のところで繋がってられるだろう。

なんか、そういう、見せ場はエンタメで美しくだからこそ面白く見れたのだけどその後の処理やぶつぎり流され感に疑問が生じることが多くて……そのへん合わなかった。
群像劇がなんか上手くないな、っていう。けして下手でもないのだけど。
ニコルが死んでついに本気でキラとアスランが敵対する展開めっちゃ熱くて盛り上がったけどトールの死は完全に展開上の要請でしかなく萎えたてか笑った。

キラと仲間との交流がもっとほしかったんだよな……。
人を殺すストレスを「誰もわかってくれなかった」と言ってしまうくらいには心通わせるような交流が薄かったからなんか色々の説得力が今一つで。
コーディネーターとかキラの特別性と両親やカガリとの関係とかクルーゼとフラガの因縁とか、詰め込んだ要素が単に設定展開への補完という役割しか果たしてなかったのも残念。


信念を持ってキラにフリーダムを託せるラクスとか、コーディネーターでありながらコーディネーターと敵対するキラの立ち位置がそのままこの戦争の情勢と意義への問いを表しているとか、ミリアリアディアッカへの憎しみとその処理とか、アークエンジェルの危機に新機体で間一髪駆けつける主人公とか、色々経て戦争への疑問を抱き一時は殺そうとしたアスランがついにキラを守る展開とか、そのへんは熱くて好きだ。

やたらとBLBL言われてる作品だからどんなもんかと思ったけどそうでもなくね……?私が敵同士BLに萌えないからか……?
と思って見てたら、マリューナタルの敵対展開で「あっはい!言いたいことはわかりました!!!」と理解した。
これは素晴らしい。所詮私は百合ヲタだった。でもふじょしでもない層がやたら過敏なのはどうせいつものホモフォビアだな。
マリュナタ、最後マリューは憎しみとやるせなさとわかりあえなさと無念と悲しみともどかしさと絶望を抱えているのにナタル的にはマリューへの信頼感と共に信念を持って死んでいくそして誤解を解く機会が永遠に失われるのが本当に……最高すぎないか……?!
ナタルは最後まで冷静な軍人でしかし最後の最後は熱い心を受け継いでマリューのことを考えてしまう、、

それにしても恋愛展開多すぎて不快。
所詮恋愛ものでない作品の恋愛展開なんて質的にはほぼ同じだからキスシーンばっかで飽きるしその二人もカップル化させてしまうのかよという残念感。
あとフレイというキャラが謎すぎた。
他のキャラはわりと単純な思考回路してるけどフレイだけ比較的複雑で、汚れ役要素全振りしておきながら特に好感度上げるエピソードもなく良い話に帰結してしまうのかよ。

あと回想シーンが多すぎるけど尺埋め?説明過剰になっていた。
「回想シーンは主観が入るはずなので以前のカット使い回しばかりではいけない」という富野由悠季の言葉を思い出す。この作品のことを指してたのか?

しかし「この戦争は無意味、無駄に人を殺さない」のはひとつのテーマだったと思うけど最後は「わかりあえないなら(物語がキャラを)殺す」と物理解決する方向で終結してしまい軸がぼやけてる感。
テーマと展開を符合させられなかった結果か。
続編は見ないかな、、縁があれば、か。

そういえば玉置成実の『Believe』ってSEEDの曲だったんだー!
歌詞の意味がわかると全然別の印象になるな。
OPが終わると自動的に杏果のラップが脳内再生される。