真昼の淡い微熱

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宝石の国7巻/市川春子

7巻買って積ん読していて、人に「7巻急展開だからはやく読んで!!!」と言われて余計に最初から読まねばならぬと読めなくなって、しかしアニメの出来があまりに素晴らしかったので重い腰上げてようやく1巻から読んだ。

おっもしれえな。
まずシンシャ、シンシャ……!
ここで繋がるのかと思ったじゃん!!!!
シンシャの出番を小出しに、ずっとフォスのことを待ちつづけてしまったシンシャの、想いが、ここで報われるのかと!
もだえ転がってから「あ、これ、"萌え"やん……」と遅れて気づく。

でもフォス~~~ほんとひどいよ……置いてかないで……。


市川さんてこんなエンタメ作品描けたんかい。
なんか1巻ずつ読んでたときは、たしかに面白かったけど、大それた起伏があるわけでもなし独特なテンポは短編時のまま据え置きだからまとめて読んでこんなに面白かったのかと。改めて。
それでいてこの多用される最終ページの大ゴマづかい演出、ベタでまたこれかと思うんだけどそこにもってく技巧のなせる技なのかすげえくる……。
モルガナイトもゴーシェもほとんど出番なかったのにこんな切なくなるか……!?百年の重みよ。



フォスの同一性のことを。
作中ではインクルージョンを要因として重視している。もはや体の3分の1はフォスフォフィライトではないから。
読者にわかる形では口調と性格が挙げられる、もはやそれしかない。
(これがアニメになるともう別の話になっちゃうんだよな、なにしろ黒沢ともよさんが抜群すぎて、一声で同一性は自明のものとなってしまう)
髪がばっさりいったのは元のフォスに近づけるため、でしょう。
聡明なラピスラズリを置くことであほうなフォスの影を見つけやすく、それが同一性を担保する。
投げやりでどこか抜けた話し方、ひょうきんな動きや人をおちょくるような身ぶり、そして先生に手の内全部さらしちゃう弱さ甘え考えなし大胆さ。
それがフォスのキャラだという。
同一性への挑戦はここで打ち止めかな。

元は同じだった肉と骨と魂への、同一性への問いかけとかあったら楽しいな。

とりあえずシンシャをフォスの物語に参加させてくれ……。