真昼の淡い微熱

感想ブログ

キャプテン・マーベル

68点だナ。
いや面白いは面白い。
総合点では高いが突出したものが感じられないのがかなしい感性。卒がない。
「アジアの女の子の心を映した映画」じゃないからだろうか。(かなしい感性)
オーシャンズ8』みたいに一言ぶっ刺さる台詞でもあればまた評価は変わるのだが。


「強い女」アイコンに惹かれないんだよな。
じゃあなんで観たか。「主人公が今まで描かれてきた強い女よりもぐっと身近な普通の女だ」という話を耳にしたから。
それでもまあ強いんだろうとは思ってたけど、ヒーローを描く最新の物語がどう「普通の女」を写し出しているかだけ確認しておこうと思った。


過去さまざまなキャロルがみじめに転びながらもそれでも泥臭く立ち上がる瞬間。
これは泣く。
こういうのがねえ、好物なんですよ。主食。
絶望して何度も叩きのめされた女がぶるぶると力を振り絞って立ち咆哮する瞬間が。
好みで言えば、その瞬間に叫ぶ女が好きなのだけど、台詞を用意しない、目で、演技で語らせる熱さが光っていた。綱から滑ったシーンのキャロルの子の目、昂りませんか? あの一瞬の演技すごいとおもう。

しかしまあ、「必要以上の説明をしない」はこれもまた主食なはずなのだが、なんだろうどこかこのスタイリッシュになってしまう感じが肌に合わないのか。
余剰が好きで、咆哮するような余剰を感じたかったからか。
好みの話だ。


というわけで、予想から大きくはずれない「普通の」「強い女」でした。いやめちゃくちゃ強いじゃん。

ラスト元上司がうだうだ言うとこ無言の一撃は笑った。
しかし男に嗤われ、侮辱され、軽んじられていた女がその怒りを発散しスカッとするみたいなストレートさはそんなに爽快じゃない。
なんか「最近の洋画はフェミニスト臭がして嫌い」とか言うつまんねえ男みたいな感想を抱いてしまったが、男を蹴散らす作品じゃなくて男が侮辱される作品が好きなのだよな。
そう、ぐだぐだと並べたてたが、ただ余剰を含まないストレートな書き割りに惹かれないだけだ。(大衆映画向いてないのでは?)


惹かれない、好きではない、ということと、面白くない、というのはちがうのですが。
だから68点ではあるのだ。
たしかに面白いです。(前日の寝不足のため途中負けて寝ちゃったけど。つまらなかったからではない)