真昼の淡い微熱

感想ブログ

悩ましい彼/凪良ゆう

なんでこんなに面白いBLが書けるんだろうな~。
唯一無二エンタメ。
『美しい彼』は清居を指し、『憎らしい彼』は平良を、そして『悩ましい彼』はふたりのこと──って着実に進んでいるよ!

『美しい彼』のときは平良のこと「あんなに崇拝していた清居とあっさり付き合えちゃうしセックスできちゃえるんだ?? しかも攻めとして??」ってふしぎだったんだけどここまで絶望的に噛み合わないと納得するしかねえ……。
恋愛とファンのちがいなんかわかりやしない、セックスは別にほんとうの意味で相手に「侵入する」行為ではなく清居を求める営為の単なる一手段である。


お仕事BLになってきたあ~。
高校生ものが好きなんですが、それはしがらみに染まる前のぐちゃぐちゃの生感情がぶつかりあうところが好きなので、その点本作は年齢重ねようが変わらずぐちゃぐちゃでよいですね。

解決シーンがわりにあっさりしているのだが、それまでの清居の「努力の目的ははっきりしている、だが方向性が合っているのかわからない、どんなに試行錯誤しても報われなくて、ただ太っていくだけ」がしんどい。
稽古入る前から力入れてて、しかも一回「掴めた」と思ったのに結果ぼろぼろっていうところがね、凪良さん場面コントロール上手いな~~って思う。
『365+1』の信頼があったので、きっと歯車を噛み合わせてうまい落としどころをつけてくれるだろうとわかっていた。
やっと追いついたときに周りの言ってることがわかる、今村が「高慢」な理由もみんなが今村と清居の掛け合いを楽しみにしていたのもそう。ポイントくすぐるなあ。


こんなに相性合わなそうなのに、欠けた部分が重なりあわさって、ふしぎとぴったり凹凸はまってしまった……。

「いつまで続くかわからないからいつそのときが来てもいいよう心構えを」→「信じきれないがそれでも未来をつなぐ努力をしたい」→「もう二度と離れないで」。
「自分と切り離せなくなったから二度と離れられない」ってのがまた上手いんだよね。平良のキャラクター性を殺さず、でも成長を感じさせる。
ああーーーでも「馬鹿」って言われるその意味をわかってねえ平良ーーー!
まだまだつづきが見たいふたりだ。
清居も自意識を取っ払って真正面から「愛してる」ですよ……!? なんなの……。
清居と平良がたくさん喋るようになっていて感動……。


平良がイケメン設定で残念だった時期が私にもありましたが、清居が生半可な顔の男に惚れるわけないんだよな。
気持ち悪い「不審くん」のまま有名オタになっていく平良、萌える……。
前作読み返してて「彼氏が事務所に手紙を送るな」にめっちゃ笑ったんだけど、グラサン帽子公演ほぼ全通崇拝ツイートで3万フォロワーの最古参トップオタがその実有名カメラマンの弟子かつ事務所公認同棲中彼氏、盛りすぎだろ。悔しいがそこに萌えてしまう。
だってもしあの舞台挨拶???のときの平良、声だけでもお茶の間に流れたら「平良じゃね?」ってなる元クラスメイトおるやろ……。
清居の追っかけやってんだ気持ち悪、と思ったそいつ彼氏なんですよ……。
清居がしきりに「俺の男」「人の彼氏」言いまくるの大好き。にこにこしちゃう。