真昼の淡い微熱

感想ブログ

かぐや様は告らせたい15巻/赤坂アカ

しまったあ~~寝かせてたら16巻もう出ちゃったよ。まあいいか。





こーれーはかなりよい。
なにがよいって私のラブコメへの不満が解消されたところ。

ブコメ大好きなんですけど同時にもやもやすることも多くて。
その理由が異性愛
生き生きとした唯一無二の個性的なキャラクターたちが、いざ恋愛成就ならんというときにステレオタイプに収まってしまう現象。
特に、ヘタレ男が急にイケメンフィルターかかってしまうかなしさ……。
WORKING!!』の佐藤とか、『ラストゲーム』とか。
反対に女の個性が恋愛で霞んでいくのは『会長はメイド様!』とか『とらドラ!』とか。

となりの怪物くん』とか『月刊少女野崎くん』とかは個性がステレオタイプに負けないから好きなんだけどなー。あと高橋留美子ステレオタイプやるにしてもキャラに妥協してない。



この作品も花火回とか激萎えしたんですよね。
「いや会長急に男らしさ発揮せんでよ……"テンション上がって柄にもないことやっちゃった"なんて設定無理やりすぎる……」と思って。

しかしねえ、それをねえ、こうするとは。

元々後付けというかキャラの拡張がうまいとは思っていた。
かぐや様が早坂の人権をことごとく無視してたのは初期だからギャグとして済むけど話が進むにつれただの倫理観のないクソになるぞ……と思っていたら「四宮の教育のせいであり、かぐや自身も性格の悪さを気にしている」に落とし込んだのは天才か?と思ったし、その拡張がいまでも充分に活かされている。いや教育の部分は最初からそういう設定ではあったけどね。

会長の花火テンションもだからここにきて「頑張りすぎるほど頑張ってしまう(しかも頑張らないと認めてもらえない家庭由来)」性格として解釈しなおせるようになった。
あの、屋上告白が。


ブコメ盛り上げピークには読者がきゅんとするエピソードを挟まなきゃならない、そのためには古典的性役割をあてはめるのがやりやすいから男がイケメンムーヴかまして女は受け身になる、そのためには多少強引に普段のキャラとのギャップを生み出さねばならない。
……っていうラブコメのジレンマを解消させてしまった。
「頑張っちゃうけど結局はヘタレなんだ」っていう答え。
ふたりの完璧さをここまで絡めて。
キャラを育てるのがうまいんだなあ……。
「完璧じゃなくてもいい」「疲れたときは少しだけ一緒に休みませんか」