真昼の淡い微熱

感想ブログ

SNS -少女たちの10日間-

きつかったな~。
思ってたよりきつかった。
人間不信になる。


性器を見せてくるとか裸を見せろとかセックスを迫るとかの何がそんなに暴力なんだろう、何がそんなにきついんだろうと考えていた。

言ってしまえば単に性欲を開示してぶつけてくるに過ぎない。
あまりに滑稽でオリジナリティがなく予測可能なつまらん言動。
薄気味悪いほどに加害欲がない。あるのはただ、それそのものを抱いているだけではなにも問題もない性欲のみ。
なのになぜ、そんなに。
女の体しか見ていないから。人格を無視しているから。人間として見ていないから。
そんな言葉では捉えきれない。

自分の欲のためならば相手が野垂れ死のうが危険な目に遭おうが未来を奪おうが全く構わないことを、臆面もなくぶつけてくる。
ここが滅入るほど暴力なのである。

お前の安全に配慮しない、自分の欲望を達成するのが第一でありお前の命はどうでもいい、お前は俺の欲望に奉仕すべきだ、奉仕しないのならお前はいらないしそうしないお前は俺を苦しめる悪だからどうなっても構わない。
これに四六時中曝される暴力。

これはたしか『ひれふせ、女たち』に書いてあったことだけど、彼らは少女を人間として見ていないのではない、むしろ「人間として見ている」からこそ苛烈になる。
ただ自分と同じ人間だとは思っていないだけ。

心を持たないアンドロイドでは彼らのほとんどは物足りない。
人間が人間の意思をもって彼らの欲を実現し慰撫してくれることで達成感を得る。
これがアンドロイドなら「その人の意思を自分の意のままに」は達成できないしから張り合いがない。例えば対植物なら自分の欲を叶えてくれやしないから苛烈になることもないし、対動物だったなら生まれる「かわいそう」という感情もあるだろう。(途中、動物性行を実現する人の話も出てくるが、まさに彼にとっては(たとえ彼自身が動物性行をしなくても)少女も動物も同じ「自分の欲望を叶えてくれる意思体」であり、"人間として"見れる存在なのだろう)


彼らは判で押したように「年齢なんか気にしない」と言う。
しかし12歳に声をかける時点で搾取しやすい少女を選別しており、権力関係を利用しようとしている。
彼らの意識としては「権力関係にわざと言及しない」と「見ないようにしている」の狭間にいる。

加害欲のなさ。
ラストでひとり男が吐露した「親の育て方が悪い」、途中で誰かがこぼした「画面越しだ、触れたりできない(から加害の心配はない、怖くないよ)」、直接会った男が言う「君が決めていい」。
自分は子供を搾取する加害者ではない、なぜなら加害欲がないからだとアピールする彼らの主張は、加害欲がなくても加害が発生する現実から目を背けている。
けれども本当はわかっているから殊更に自分が加害者ではないとアピールするんだろう。

直接会った男に水ぶっかけるので溜飲下がったけどこれで終わりじゃ後味悪いな……と思ったらちゃんと警察に提供してたし警察も動いてくれてた。
日本でやってくんないと日本社会へのインパクトねえよな~と思ったけどチェコより法ゆるいので……基盤が違う……。
でも各国1作ずつ必要だと思う。……警察と連携取れるならば。