真昼の淡い微熱

感想ブログ

閉鎖病棟/帚木蓬生

つまらなかった。
ただただつまらなかった。
淀みない、起伏のない、余生を過ごすだけの、日常。

解説読んだら「精神科の患者がわたしたち以上に純粋でまともな心の持ち主だということに愕然とするかもしれない」とあって、なるほどそういう小説か、と。
そんなの!知ってるよ!!

「フツウじゃない人」が「実はとてつもなくフツウだった」ことにいつまで驚き続ければいいの。
そういう偏見を自分が持ってることに気づけない人間は幼稚だよ。
みんなフツウでフツウじゃないんだよ。

つまり私には必要のない、私向けではない小説だった。


それでいて重宗が異常者として描かれ他の患者と分断され忌まれているから、テーマ通じなくね?っていう。
重宗さえ掬い取ってこそ「やさしい」物語たれるでしょう。
むしろ純粋でまともな弱者像という偏見を助長し、そうでなければ殺されても已む無しとめちゃくちゃ差別してんじゃねーかと。
差別によくあるパターンそのもの。
あほらし。


極めつけに何だあの島崎さんの意思完全無視の殺人。
仮に「殺してほしい」と思ってたとしても本人の意思確認しなきゃ更に悪い結果だったろう。
あれだけで立ち直れるっていうのが欺瞞。
メンタルケア最優先してくれ。
あの時代に適切な機関があったかはともかく。