真昼の淡い微熱

感想ブログ

2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

少女漫画ジェンダー表象論/押山美知子

男装の少女考察。面白かった。サファイアの男性性は表面行動に限られ、男性と明確に差異化する女性性の表象が瞳であり、そしてサファイアの本質は「目」=女性性であった、と。オスカルが中性的な容姿でいられたのは顔の記号の発展によるものだとか。オスカル…

嫌煙家のテーブル/すもも

雰囲気よかったな。短編としてよくまとまってて。まあ、私があまり恋愛ものの短編集を好まないからか物足りなさは残るけれど。「お前の小説のこの箇所が好き」「残念そこは岡本太郎からの引用だ」「お前の文章の中にあったから好きだ」って流れになんか感心…

俺が世界を救う/吉池マスコ

なんでもありだなあ……と思わせられるBL。冴えない弱気なサラリーマンが何人も犯して「世界を救うってのが嘘だったら俺ただの強姦魔だもんな」とほのぼの言えるところがファンタジィ……。話はそんなに面白いわけじゃなかったけど軽いギャグとしてはいいんじゃ…

オウムからの帰還/高橋英利

村井の死について、他の資料で散々目にしていたけれども、どれも事実として記してあるだけで淡々としてた。しかし村井は著者の慕う上司であった。著者がオウムを疑い始めて混乱していたときに殺害されて、記憶に残らないほど叫びあげたこと、静かに一人で孤…

千年万年りんごの子1巻/田中相

ずっと機会があっても読んでこなかったが、面白かった。田舎の空気感を、マイルドに、ひしひしと伝えてくる。愛想笑いを示す演出好きだな。子供の頃の主人公を重ねて台詞喋らせ、幼少から慣れているという。まあ謎は引っ張るまでもない。こういうファンタジ…

オウム事件17年目の告白/上祐史浩

私はメディアに出てくる彼を知らないからあまりその視点はわからなかったけど、当時を知る人の反応によるとまだ彼の考えが変わったことって知られていないんだな。面白いのは「ひかりの輪」のHPで。「何かを絶対と崇めなくていい」「信じるかはよくよく考え…

麻原彰晃の誕生/高山文彦

はー。麻原の過去が。拒絶の人生だったんだな。しかし懐への滑り込みかたは心得てると。宗教法人の許可の後ろ楯としてチベットで誰に何をもらえばよいかとか。最初は弟子のシャクティーパットにも心血注いでたとか。そりゃ、感動するよな。自分のために身を…

革命か戦争か/野田成人

ふむふむ。資本主義の綻びを指摘。『精神史』の記述によれば、「教皇のかんざしてた利権の冠を社会が自らにかぶせるようになり、際限なき暴力装置と化した」と呼ばれるところかな。事実「拝金主義はキリスト教的」とも言われたりしますしね。金の永遠性を信…

本を読む本/M.J.アドラー

これ挑戦できるといいなー特にシントピカル読書大事だよね。

オウム真理教の精神史/大田俊寛

あー。これ、最初に読むべきものだな。体系づいてて、時代のうねりの中でオウムが生まれた経緯がわかりやすい。一冊の本としても優秀なんだと思う。まさか近代国家の設立まで遡るとは。「近代国家は公的に死を上手く扱えない」。まさに。『オウムからの帰還…