真昼の淡い微熱

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灰と幻想のグリムガル

アニメ。原作未読。
好きだ。毎週楽しみだった。
あらすじで興味持って、ゴブリン一匹で大苦戦する2話がすっごい肉薄していて見るのつらくて。

でも、この世界を「日常」として地道に生きていくパーティーが輝いていた。
ゆったりと流れていくだけの生活を、特別な演出なしで退屈せずに見ていられる作りなのが凄い。
そこでのささやかな心のふれあい。

「死」の挿入はお手本どおりといったところ。
でも特別な演出をしないからこそ、あそこで、パーティーでかなり重要なリーダーつとめるマナトが死ぬのは衝撃だったわ。
火葬に「それも金かかるんですか」は、すごくいい台詞。細谷さんさすがの演技。

なるほどそれも新しい仲間を迎えるコミュニティの四苦八苦へと繋がると。
そしてたっぷり墓前で死の受容を描いたり、メリィとの交流を描いたりしみじみと。
全体を通して、バストアップとロングショットの組み合わせがキャラクターたちの距離感の機微をうまく慎重に表していることが多い気がして好きだった。
何度も繰り返されるあの坂のメリィとの分かれ道。
墓前のシーンと坂のシーンを雪天候で繋ぐのも好きだな。

ランタの描き方が好き。
嫌なことをただ言うキャラにならない、ランタなりの論理で生きているのが明らかにされていく。
ハルヒロが「ランタに協調性がない」と思うのと同様に、ランタだって「ハルヒロは自分の話を聞いてくれない」と思っている。
そうそう、こう、相容れないけれどもコミュニティを運営する上で最低限のつながりを持てる、完全にわかりあう必要はないって言ってくれる作品が増えている気がするのは時代の流れかな、息ができる。安心する。
だからこそラスト助け合うことができるラインに。

風呂のぞきのシーンはランタ以外の男の子が倫理観ちゃんとしててほっとした。
風呂場を映さなかったのもよかった。
こういう地道な作品で下手なお色気はいらない。
でも色彩の、陰影の付け方がエロかった、評価しよう。


ゴブリンやコボルトたちも彼らの世界で日常を生きている姿を見せる、ハルヒロたちのほうがただの侵略者ではないか、「生と生の戦い」の哀愁が常に漂っているのがこの作品の魅力を押し広げている。
このへんの折り合いを見てみたいし、彼らがどこからどうやって来たのかという謎も気になるので原作を……読もうかどうしようか……。