真昼の淡い微熱

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逃げるは恥だが役に立つ(ドラマ)

見る見る言っててやーっと見ましたよ!
面白かった。原作既読。



流行った当時は、「私のような者たちが読むものが、ついに世間のメインストリームに乗るように……」といううすら感動があったのですが、なるほどこれはうまい。
言語でまくしたてあう理屈っぽいくどくどしたコミュニケーション部分をばっさりやって、ラブコメ全開。
しかし根底はぶれることなく、「それは好きの搾取です!」でその姿を露呈させる!
最終話の会議で原作『逃げ恥』らしい言語コミュニケーション炸裂、でもそれはドラマ版にとって唐突というわけでもない。
うまいなあ。



あのね、あのね、原作でいちばん気にくわなかったのはゲイの描きかたでして。最後のほうはそこそこ見れるようにはなったけど男をみんな性的に見ている男好き、的なオチ担当っていう。
「俺が風見さんに手を出さないか心配だったんでしょ」
って台詞、これは別にいい。つづくドラマオリジナル台詞、
「男だからって誰彼かまわず取って食うわけじゃないのにね」
これも、いい。
BLでもよく見るようになった世間反発。偏見打破。

でだ、それだけならいくらでもできるわけ、偏見に辟易してる側はそれで胸がすくかもしれない、でも、素直に受け取れない偏見持ち側からすれば鼻につく描きかたになる可能性をはらんでいる。
別に偏見持ち側への過剰な配慮をしてほしいわけじゃなくて、私がそういう教科書的な説明台詞はあまり肌にあわないので。
こういうのにかぎらず説明台詞はできるだけ省いてほしいので「いや、もう、それ、言われなくても知ってるし」って気まずさを受けとりたくなくて。

だけどこの作品は、そこに留まらなかった。
「僕はこれまでも知らないうちに人を傷つけているんだろう」
傷つきたくなくて閉じこもるあまり独りよがりになって弱さとコンプレックスと思い込みで人を傷つける平匡キャラの説明を盛り込んできた!
そうそのプラスアルファがほしかった!
説明台詞がほっぽりだされず本筋にさらっと合流する気持ちよさ~~!
これぞ創意工夫~~~~!!


っていうね、工夫があちらこちらに見えて楽しかったですね。
全然原作と展開ちがうのに「全然ちがう!」感がなかった。
脚本も演出もキャストもぜんぶ噛み合ってたね。


ガッキーかわいすぎるでしょ。ガッキーかわいすぎるでしょ。
「うそです!」って後ろから抱きつかれたすぎる。朝まで一緒に寝ていいか聞いたらちいさく頷かれたすぎる。
ガッキーがあまりにかわいすぎるから理屈っぽさ削ぎおとすと「かわいくて完璧に家事してくれて優しくていつも笑顔なみくり」像が如実になり。
するとけっきょく高学歴高収入男が若くて綺麗な都合のいい女をつかまえたに過ぎないじゃねえかと思いそうにもなるんだけどそこに「それは好きの搾取です!」をぶつける構成がめちゃくちゃよかった。
都合の悪い女になっていこうな。それが大事な自分なんだ。
いやそういう話でもないんだけども。

まあでも異性愛ですね。青空市のハグにみんな注目過剰演出、つらい。異性愛が祝福される、つらい。
真逆のことを言いたい最終回なのはわかるけどね。作籍婚を濁してあらゆる未来を示唆したのはよかったけどね。とても。あんしん。
でもなんかあー異性愛なんだな~と気づかされる感じでしたねあれは。私の呪いは解けないし解きたくないですね。
ゲイ同士の(とってつけたような)出会いにすこし救われ涙を流す。