真昼の淡い微熱

感想ブログ

お嬢さん

よかった。
思ったとおりの「百合と男」だ。
と思ってたら、別に望んでもなかったのに意外にも男が死んでくれた。タコは笑う。
原作はどうなのかな?


女が連帯してクソ男をはね除ける話とわかっていたので、三部構成の一部終了時点で「そうくるか、一旦裏切りが発生したあと改心連帯エンドかな?」と思ったが、ミステリー的に「実はあのとき……」構成だった。
秀子を裏切ると思ったらスッキが裏切られたと思ったら男を裏切るという三段構え。
スッキが本を破り八つ裂きぶちまけるとこがよかったのと、桜の木で追いすがるとこが好き。

思ったよりガンガン日本語出てきて役者さん大変だな……と思った。日本統治下という設定で、妥協のなさ。
そのおかげか、「わたしのスッキ……」が、「내숙희……」?→「ナイ スッキ……」→「ダイスキ」にも聞こえて、ダブルミーニングっぽくてよい。


こういう映画はあってほしいし、女と女が男に立ち向かって反逆する作品は残念ながら今現在有効に希望となってしまうので、百合としてもシスターフッドとしても必要。

ただそういう作品だからこそ、濡れ場がテーマと噛み合わなくて。
エロ本朗読させられ、統治者側の支配男性に品定めされ使われて……秀子にとって性と暴力とは不可分だったところに、スッキとの胸震える情事が対置されるわけで。
尺も割かれるし同じシーンをスッキと秀子と視点変えて二回もやるしラストもセックスで終わるし物語のかなり重要な部分を占めるはずだが。
なのにそれが妙~~~~に、ヘテロ男向けっぽい官能さなんですよね。
噛み合わなくない??

「溺れるほどの激しいセックス」って別にいろんな体位すればいいってもんじゃないと思うんですが……。
最初のクンニくらいがちょうどいいよ……。
シックスナインとか貝合わせとか鈴ディルド?とか、「本人たちの感情の昂り」の表現というより「観客に魅せる綺麗な女体セックス」を優先してる気がして萎える……いやAV見にきたわけではないのですが……。
百合エロ好きじゃないのであんまり触れてないのが後ろめたくはあるんですがやっぱりなんか百合エロでやたらと小物やら飴やら舐めさせるの万国共通なんですかね? 古くね?
貝合わせに……スッと冷めたよ。
互いをむさぼりあう激しいセックスと貝合わせって相反する概念じゃん。
別にアンチ貝合わせ過激派ではないので試行錯誤の末の共同作業として貝合わせで気持ちよさを積み上げていくのは納得いくけど、あの流れで気持ちいいわけないじゃん。冷める。

男の支配に反発するという作品のセックスが、「男が見てもエロさを理解できる魅せるためのエロ」でいいんですかね。
「男が見ても全然抜けないけど互いが寄り添いあっていて官能的なことはわかるエロ」の追求がこの作品のやるべきことだったんじゃないですかね。
あんなわかりやすい体位や小道具に逃げないで。
私だって貝合わせの全部が全部男女挿入セックスを模倣してるなんて言説は逆に男女挿入セックスに縛られていると思うけど……でもこれはなあ……そう言いたくもなる。


ドレス試着のシーンとか、風呂場で口に手を突っ込むシーンとかはエロくてよかった。
こういうのならいくらでも見てえや……。