真昼の淡い微熱

感想ブログ

機動戦士ガンダム水星の魔女~12話

これリアタイするの失敗だったかなあ~。
元々見ようと思ってたけど全然アンテナ張ってなくて偶然百合だったからそのまま見てただけなのにこんななんか……リアタイするには向いてない作品だったなんて。


11話まで
百合としては好みだしここまで同性婚推してきたからには脱ステレオタイプで真っ向から恋愛してほしいけど話は退屈

12話
話は好みになってきたけど百合としては陳腐でステレオタイプ

真逆になった。
私は露悪趣味なんで12話ラストは好き。
10代の頃なら大いに盛り上がっていただろう。
鑑賞物の百合としてのみ切り取っていればよかったんだからこんな丁寧な露悪美味しくないわけがない。
プロローグが雑な露悪で興醒めしてたけどまだプロローグだから様子見か、と思ってからの丁寧露悪だしね。
同性愛を期待するのは恥なのだと心を封じていたのだし。

いやー今も面白くは思ってるんだけどねえ。
この面白さは12話ニカの立ち回りあたりから続く怒涛だから。

懐かしいなこの進行度。
進撃まどマギ以前の遅さに回帰。
1クールめでたっぷり学園ものやって2クールめで殺伐という。
なぜこんなに遅くできたのかといえばガンダムだから・配信サービスが一般化して追いつきやすくなったからだよね。
どちらかが欠けてたらこの娯楽飽和時代にやるのはリスキー。

ただでさえ退屈なのに途中ドヘテロ展開だったから不要な傷つきを負わないように薄目でながら見してたのでもはや話よくわかってない。

こんなに百合と同性婚で釣ってるのに直球ヘテロは最悪の最悪なのでエラン4号なんてながら見の友でしかなく抹殺も感興寒々しであった。
最終話で急に(というか学園出たのに)スレッタに思いを馳せるグエルなんで?って思ったけど私がよそ見してるところでなんかそれなりの感情があったんだろうな。

いやまじでエランのあたり、2022年にあの1話で百合やる宣言同性婚約展開しといてヘテロ展開になるの意味わかんなすぎて思考を飛ばしてた。ウテナみたいなやる意義のある異性愛とかでもなんでもないし。
シャディクとミオリネの異性愛(未満)なら物語的にまあわかるけど。

百合も好みだけどスレミオにハマってしまえばクィアベイティングor死別で終了して傷つくのは目に見えており常に予防線張ってるのでハマれもせず。「バーカ」がかわいかったけどなあ、と。
11話もう一声ほしかったもう一声ないと安心なんてできやしないと思った矢先に12話。


おもれーやん&うーんそっちいっちゃうか~

これでガッシュのココシェリみたいにガン決めミオリネ覚悟の救済突貫エモーションが見れるんなら大歓迎よそらもう。
でも死別エンドの道のほうがよほど開けてしまって不安。
別に最終的に死なず別れず世を去らず異性愛もせず百合やってくれるならあとはどんな展開がこようとそよ風なんよね。
まどマギ叛逆はその安心感があったから当時ブチ上がったのだし。

恋愛なるやで釣っときながら「恋愛を確定せずストレスを与え続ける」を選択された、「期待を持たせてショック与えて引っ張る」のが最適解だと思われてしまったことが残念だ。
思春期の自我が定まらない女好きの女が「この世に私の居場所はあるんだ」と思えることよりも悪趣味娯楽性ほうが重要なんである知ってる。
だからリアタイすべき作品じゃなかったのだ。安心がないと娯楽も娯楽にならんのだから。
でも同時代性によるエンパワーが活力だよねえ子ども。
私が今思春期なら……うーんやっぱり本当にほしいものを封じがんじがらめに蓋をして露悪に喜んでたなあ。

まあ百合ふわっとお茶濁して逃げられるよりは百倍ましだし、11話で確定させなかったことで修復の先の恋愛を夢見れるようになったのかも。
死別エンドはもう飽きた。

なんかクリエイターのひねくれは感じるので今更2000年代の『コードギアス』はやらないだろうというか、人を殺したら悲哀なる因果応報エンドしかありえないという制約を脱しようとするんじゃないのかねえ、どうかね。
制約方向は進撃がまあ悲惨にもどん詰まりながらやりきってしまったし……。

たぶん2000年代的なステレオタイプはもうやらねえだろとは思うけど2010年代的なのはまだやれるし「どうだ新しいだろ」という顔をして年季入りのステレオタイプはやるだろうなあと予想はあるよ。
ていうかまさに人殺し×百合表象がステレオタイプなのだし。
2000年代の変態セクハラレズビアン表象は脱したが、ピュアピュアな百合の下に血濡れたドロドロが……っておっまえ陳腐やな。

いや私も『玉野五十鈴の誉れ』は好きですけどね『舞-HiME』も『WIXOSS』も『ハッピーシュガーライフ』もなんやら巷の女が女に執着するなら刃物出す物語みたいなのいーーかげん飽きとんのよ藤乃静留は好きですけど。

ただ今回のスレッタはステレオタイプながらに全部ズラしが入ってんのね。
相手が好きすぎて狂うでもなく、共依存と陶酔でもなく、独占欲ゆえの妄執殺人でもなく、ヒステリックな錯乱者でもない。
("異常者"扱いバリエーション過多レズビアン表象~~)
だから面白く見れた。興醒めせずに。

でもその血は純粋性の裏返しでもあるって知ってるよふたりの想いは純白だから汚したいもんねうっせえわなーにが死体埋めだ。
気色悪いピュア幻想とその延長線上の闇要素。

操られて人殺し~という意味ではココが近いかなあとは思うからこそシェリココやってほしいし因果応報死別エンドは嫌だ。

でも因果応報しないんなら加害責任に向き合わさねばならんじゃーん私はそれをやってほしいとは思うけど正直現代日本の有名クリエイターがやれるなんて全く思ってないから茨の道なんで。

そんな期待はもうデリングとグエル父が最後に良いヤツ感醸し出してきた時点で解散さよならよ。
ミオリネが「勝手に死ぬな」と言ってくれたのだけが僅かな救いだけどこのミオリネの怒りなんてデリングの自己犠牲の前にはツンデレ反抗期に回収されてしまうんだろうなと。勝手に死ぬなは勝手に死ぬななのに。
散々子を蔑ろにして虐待してたくせにプロスペラにだけ重しを渡して父らの株上げようとすんなよこすいな。
プロスペラは「これどう処理すんの大丈夫?」→「やっぱこうきたかヨカッター」だけど父ふたりは「これどう処理すんの大丈夫?」→「やっぱこうきたか最悪」です。


断絶は好きなんだよちゃちなすれ違いじゃなくてああもう根本からわかりあえないなっていう他者性は好きなの。
けどそれが瞬間最大風速にしかならないというところに自分の年を感じる。
ちゃぶ台返しで終わってほしくない。
でもちゃぶ台返すならもうなんの環境も整えず相互不理解のメカニズムも解体せず対話も交渉も修復も試みずに「結局わかりあえないものだよね(ニヒル)」で終わらしてほしくないんだよもうさあこの年だからさあ。