真昼の淡い微熱

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君は永遠にそいつらより若い/津村記久子

に、2000年代だ~……。
モラトリアム……。

文章は流れるように読める。
主人公の自意識も適度である。

イノギさんとの女同士セックスがセンセーショナルさを伴わないことが逆説的に鬱陶しいほど陶酔を感じる。
独りよがりにはならない程度に、でもセックスが持つセンセーショナルさを利用したいのは伝わる陶酔。
すごい2000年代ぽい……よく見た……。

搾取される子どもがテレビの中、というのが、そしてそれに心を痛めて職を決めた主人公が奇特な存在という設定。
それでいて、差別や構造に言及しなさ。
社会の裏側がちらりちらりと瞬くのに周りの人の自死自死未遂や生への切迫感への薄い膜のような他人事感。
過酷な幼少期をサバイブしたイノギさんへの何も言えなさ。
塀を越えて子どもを助ける行為の焦燥感のなさ。それでもモラトリアムを安住する主人公。
なるほどやろうと思えば2021年バージョンに再構築できそう。切迫度を上げてゆけば。社会に自覚的であれば。
映画の予習で読んだのだった。