真昼の淡い微熱

感想ブログ

零合 VOLUME.01

文章が苦手な『躯躯罹彾㣔記』以外は読んだ。

して、がっかりした。
陶酔と死ネタと離別(行方不明)ばかり。これだから文芸の百合は好きじゃない。

百歩譲って陶酔はよしとして。奇抜な設定、豊かな発想をするすると潤沢な文章でまとめあげる上手さが光れば。
死ネタはさあ……もう見たくないんだよ、百合=死。
それって女が男なしで世をサバイブできる力を奪われてるからだし、女同士に将来が用意されてないからでしょ。その追認なんだよ死ネタ。
綾加奈さんだけが百合におけるその文脈を汲んで生と共生を選び取ってくれた。

『あーちゃんはかあいそうでかあいい』
→陶酔。最初の話だったから文章力を楽しめる余裕はあった。

『嘘n』『人よ、子らのスティグマよ』
→死ネタ。特に『嘘n』はがっかり度が高かった。
 ドライブ感があって読ませるのに、あ、もうどこかで見たそれねー……ハイハイ。
 ヤクザに接近して百合セックスして死ぬ。
 『人よ、子らのスティグマよ』はSFテーマ「AIにとっての愛とはなにか」とスワンプマン問題を扱ってるだけよかった。

『セイレーン』『ドロステの渚にて
→陶酔×死ネタ、離別ネタ。

『過去にはなく、未来にもなく』
→これだよーーー。綾加奈さん。
 これが見たかった。社会に居場所がない女。搾取してくる男、とその抹殺。心中。火事。
 からの、それらをかなぐり捨てての生。

『不安スポンジたち』
→あとこれは唯一文芸百合としてよかったかな。
 百合か……?と最初思ったが、階級と連帯の話だった。

『東京デザート2019』
→総括、私の不満を嘲笑うかのような勢いがあった。
 他と毛色が違ったしメタが散りばめられ漫画投稿と執着と奇跡。最初の女と別れて次につながる第一話。
 好みではないけど他があんまりだったからいいね。