真昼の淡い微熱

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トーベ

女と出会ってしまった女の話だった。

もっとポリアモラスな感じかと思ったら女と出会ってしまった女の話だった。
ラストはぼろぼろと泣いた。
なんの涙がわからなく、理由をつけようとしてみたけどどれもしっくりこない。ただひとりで踊るトーベのその真芯にあてられ、しみじみと、というよりはぼろぼろと、どうしようもなく愁いが掻き立てられて泣いてしまったのだった。
 
トーベのこともムーミンのこともなにも知らないのだが、ヴィヴィカ、またこういう女かよとうんざりした。選択の余地なく主人公を惹きつける魔性のレズビアン的な……。
なのに最後にはヴィヴィカに誑かされたくなっていたのでまんまと術中にはまっている。
トゥーリッキのことが作中ではすこしほのめかされエンディングでさらっと書かれる演出は粋だとも思うし、女と別れた女が女を伴侶にする話はほしかったのだけど、「情熱的な愛しか映画にはならんのか?」とも少し思った。
 
男とセックスしてから男を捨てる女のことをいつ何時も求めているのだがなぜか今回はフェアじゃないやん……と思った。結婚の申し出からして欺瞞が強かったからなのか。私の考えが変わったのか。
でもアンフェアや癒着や支配ゲームが唯一可能になるステージ設定としての恋愛のことが好きなんですよね。
ヴィヴィカの身勝手さ。最後の再会のとき、着いていってほしくないとも着いていってしまってほしいとも思って、別れが言えて安堵した。
 
ひとりアトリエで黙々と描くトーベの映像が好き。