真昼の淡い微熱

感想ブログ

蒼穹のファフナーEXODUS 全26話まとめ

全編通しての感想まとめ。


一騎と総士を描ききってくれた感想……はまだまとまんねえなあ……。
「そうか、うむ。」って感じだ……。
というか毎回感想書いてても私一騎と総士好きなわりに二人について触れること少なくないか?って自分で思ってたんだけど、それは見せてくるものがすべてだったからかなあ……と。
それを見て沸いてくるものは言葉じゃなくて感情だけだった。だから今後もまとまんないままな気がする。
最終回一回しか見てなくてまだ見たくなかったんだけど総士生誕祭で強制的に見せられておろおろしたわ……。

なので違うところを。


【相互理解】というテーマについて


無印、HAEでは「対話さえすればわかりあえる」信仰があったように思う。
そして共感主義。「少しだけわかった気がする」(16話)に象徴されるやつね。

特にHAEは操の思想を一騎が塗り替える話で、これは操がちゃんと聞き耳持って説得されてくれるほど素直だったから成立した。
別にそれが不満だったわけではない。

ただ私は元々「わかりあえない」物語が大好きだし、人と人がわかりあうのってすごく大変なことだと思ってるし、思想や思考方法や思考プロセスや立場や見える範囲や経験則の違いによって日常的に私たちは誤解しあっているし譲りあえてない。
そういう現実認識でいるから、今までのファフナーの「わかりあえる」信仰に少しウッて思うときはあった。
丸々わかりあうなんてできないよねそうだよね、ってことで「少しだけわかった気がする」って台詞は絶妙だな~と思っていたんだけど結局そのあと一騎と総士は完全にわかりあってしまうしね。
それが彼らなわけだし別にそれはそれでいいんだけど。

今まで「思想が同じで共感すればわかりあえる」だったから、EXODUSでは「違うけどわかりあえる」を描いてくれないかな~まあ無理かな~と思っていた。

そしたら、EXODUSはこの「対話さえすればわかりあえる」信仰についに一石を投じた。
まずアザゼル型が最初から対話を拒否している存在だというのが来主操のアンチテーゼだ、ファフナーシリーズへの自己批判だ、と思ってわくわくした。
それから順に、「対話できる(している)のにわかりあえない」をいくつも描いた。
その筆頭が一騎と真矢ちゃんの噛み合わなさだよね。

・真矢「わかってる」総士「わかっちゃいないさ」
 →最後までわかりあえない
・エメリー「これで戦えるよ」美羽「えっ」
 →誤解を解いてわかりあえる
・弓子と美羽
 →弓子が変化することでわかりあえる
・香奈恵さんと彗(や史彦や里奈)
 →香奈恵さんが「わかる」ことでわかりあえる
・ダスティンとカマル
 →イデオロギーの言い争いの末にカマルが殺されわかりあえない
・操とウォーカー
 →思想がまるで違いわかりあえない
・真矢ちゃんとヘスター(対キースもそうかな?)
 →追いつめあいわかりあえないけどヘスターちゃんは助けてくれたりする

こうして見ると「わかりあえる」も「わかりあえない」もそれぞれの位相で沢山繰り返されているんだなあ。
コミュニティ単位での相互理解がテーマだったらしいけど、ナレイン対史彦とか暉対ウォルターさんとか竜宮島対バーンズ率いる人類軍とかは、今までファフナーがやってきたことが実を結んで対話によってわかりあえる位相にあったと思う。
ナレインと竜宮島部隊も、旅を続けるうちに信頼関係が生まれてきたのだし。
これは今まで閉塞環境にいて新国連人類軍の姿が見えなかったからで、だから今回はフェストゥムと新たにわかりあうよりも先に人類同士の話をやらねばならなかったんだろうね。
そしてだからこそフェストゥムとの相互理解という最大のテーマが残されてしまったわけか。
しかし「力」の理解というレベルではフェストゥム、ミールを理解しましょうってことは言われてて、だからこそ「共存」できる、そして密なる共存は描いてくれた。


25話の「わかっちゃいないさ」、なんで2話と変わらなかったんだろうって思ってたんですが、「対話によってわかりあえなくてもいい」ってことか!!
……と、私は思った。
最低限互いを理解してはいるんだけど腹の底からわかりあうことはない、でも助け合うことも気遣いあうこともできるし傷つけたり消したり侵したりしないまま共存できる、人間関係ってそうであってもいいよねって言ってくれてるのか。
「一騎くんと話して!」という対話によってわかりあえる信仰があった無印から考えると凄く感慨深いことではないか。

一騎と真矢ちゃんに関しては何回も話してるのにほんっとずーっとわかりあえなくて、もし腹割ってぶちまけあったとしても互いの「守りたい」気持ちが衝突するだけで何も解決しない話で。
これこれ人って対話してもわかりあえないものだよね!って結構テンション上がってた。
だからこそ18話ラスト大興奮でして!
そうか時に行動は言葉よりも雄弁に語り相手に理解させるのだ。
そして一騎は真矢ちゃんの望みも何もかも理解し戦うだけでは世界を救済しえないと思想を変えるんだ……。
真矢ちゃんは対話の重要性を深くわかってる人だから一騎とこんなにも「わかりあえない」描写がなければ18話のあの決断もなかったろうなあと思ってる。

ヘスターちゃんは真矢ちゃんとわかりあえなくても竜宮島の窮地を救ってくれて。

相手と丸ごとわかりあわなくてもいい。
対話によってわかりあえなくてもいい。
わかりあえなくても対話によって益を生み出せる。

真矢ちゃんで描かれる「対話」と「相互理解」……主人公だなあ。
最後にビリーとわかりあえずに終わったのも必然というものか。
ビリーは自分で決めない。立場が違う者とわかりあうことは難しい。
対話(今までの交流)があってもわかりあえない。
それぞれにそれぞれの思想があるしそれぞれのエゴで生殺が決められていくことを真矢ちゃんは知っている。
今の真矢ちゃんは対話信仰をしないでしょう。

うーん、世界が広がったんだな。
それでも真矢ちゃんのエゴが美羽に肯定されたのはやっぱり美しいと思うよ……。

とにもかくにもファフナーは対話信仰相互理解信仰だと思っていたので私はとても感動している。

(追記。毎話感想の記事の誤読はそれはそれで当時の読み方だということでいちいち修正しないけど、この記事くらいは解釈変わったら修正しようかなと。
25話見返したら、一騎「俺が人を撃つ」真矢「えっ……」だったので何もかもまでは理解してねえじゃん……と思い直した。
そうすると真矢ちゃんは一騎とも総士ともビリーともわかりあえないエンドだったわけですっすげえな……ごめん大好きだ……そしてこその最後の最後で美羽からの全肯定……!!(最近とても真矢美羽がきていて、それこそ最初はエメ美羽がおねロリになる可能性を考えていたんですけど美羽が成長したりエメリーも美羽のように成長させられた疑惑もあり年齢不詳であやふやになってしまっていたのでガチでロリに追いすがりやっと甘えられるおねえさんとかしかも血が繋がってる擬似母娘とかもう、すごくね!?!?)一騎が人の生を超えた以上もう真矢ちゃんのエゴはどうしたっても報われないわけでそれを残念わかりあえなかったねってふうに25話時点で描いてしまったのは結構すごいことなのでは……だってEXODUSって一騎と真矢ちゃんの物語丁寧に作ってきたじゃん21話で完成させたら綺麗に収まったじゃん……)


追記。

うーーん。
なんか言いたいことぽろぽろこぼれてる気がするので取り急ぎつけたし。結合するかは私の気力次第。


「同じところがあるからわかりあえる」
「共感するからわかりあえる」
「どちらかが考えを改めることでわかりあえる」
「誤解を解くことでわかりあえる(根本的には元から対立してない)」

こういう話が王道で、ありふれている。

でも私が望んでいるのは「違いを抱えてわかりあえないけど相手を尊重し共存できる」物語。
シンデレラガールズ』や『蟲師』のような。
(単純な好みでいうなら『まどマギ叛逆』のような「どうしようもなく絶望的にわかりあえない」物語が好きだけど)

今までのファフナーは王道だった。
同じところがなければ、共感しなければ、考えを改めなければ、共存できないのか?対立してしまったらわかりあえないのか?

…… 「考えを改めさせる」って言ってしまえば楽なのよ。
「正しい側」の論理を物語に沿って「誤っている側」に認めさせるとなんかいい感じに美談になるもの。「正しい側」が主人公なら尚更使い勝手がいい。
それが無印とHAEでの一騎であったはずだけどEXODUSでは一切ない。もう別のテーマ背負ってたからね。

わかりあえなくていい。わかりあう方法は対話でなくてもいい。わかりあえなくても対話は益を生む。

「違っても相手を尊重し共存できる」まではいってない。
でも「悪の思想」があったとしても変えることはないのだ。もとより悪はなく別の正義ってやつが示された。

このテーマ昇華してほしいね……。


あとね、EXOの一騎と真矢ちゃんは無印の一騎と総士の関係のアンチテーゼなのでは。
「対話したらわかりあえる」→「対話してもわかりあえない」
「相手の本心を理解したらわかりあえる」→「ただ理解するだけじゃわかりあえない(「守りたい」という互いの気持ちが衝突するだけ)」

EXODUSとフード


26話中21話、総じて50回以上食べ物出てくるシーンが出現する蒼穹のファフナーEXODUS、どこのグルメアニメですか?
3話で「おおおEXOはフード推しか!」と興奮したのも懐かしいくらいよ。
ぜひ福田里香さんに届いて論じてほしいなあ。

食べ物が一切出ない:7話、15話、20話、22話、26話(全部戦闘によって食べ物出す暇なかった回)

毎回フードとその演出について突っ込んできたけれどもあえてフード理論の話は全くしてなかった。全体を俯瞰してからのほうがいいと思ったので。
さてさてまとめなのでフード理論に鑑みるとファフナーは何が浮かんでくるか?

福田里香さんのフード理論
1善人はフードをおいしそうに食べる
2正体不明者はフードを食べない
3悪人はフードを粗末に扱う


ファフナーはフード性善説
食べることをよいこととする。食べ物によって生を保ち、その循環に「感謝」する。
1の「善人はフードをおいしそうに食べる」は完全に原則通り。
でも竜宮島の子はみんないい人だって最初からわかっているので特に美味しそうにはしてなかったりするんだけど、まあ「感謝」してないはずはないでしょ。
暉の「命のあたたかさ」で最終的にそれは示された。

で、1に関しては3話が原則にのっとった演出で。
ペルセウス中隊ジョナミツ、ビリー、アイちゃんが一騎カレーを美味しそうに食べていたこと。
2話で助けてくれて、不審に思っていて、人類軍=みんな悪だった竜宮島の子たちにギャップの戸惑いを与えた。
ていうかこれ最終回後だとわりと堪えるな……そうだよ善人だったんだよ……。
……って思ったけどジョナミツさんおいしそうにはしてないな?
どう解釈すべきかなー。この時点での怪しさと見るか、今後(総士いわく)「怪物」になるからと見るか。
どっちでもよさそうだけど私はあの子を被害者と見たいからなー。お前の心はどこにあるんだ。

そういえばエメリーはドラマCDまでかなり疑われてたけど私がそうは思わなかったのって涙もあるにせよここでにこにこごはん食べてたのもあるかもなあ。
史彦とナレインが一緒にごはんを食べてわかりあえたのも3話。
思えば3話のフード演出が一番巧妙かも。出前♡以上に一騎と総士の関係示す方法ありませんしね……。

その3話で里奈がブルーハワイ割る=食べ物粗末にしたことで、ああ3の「悪人はフードを粗末に扱う」原則にはのっとらないんだなって思った。
あれは里奈がよっぽど人類軍を憎んでしまっている、今まで日本、竜宮島が受けた悲劇がどれほど禍根を残したかの表出。

そして、アルゴス小隊も食べるのだ。
9話と12話でワインとフルーツ盛り合わせ。
けして美味しそうにいただくわけではないけれども、粗末に扱いもしない。
「悪人」だろうと食べる、という見方。
ファフナーには絶対的な悪人がいない、という見方。
恐らく後者だけどどちらにせよファフナーには生命そのものを侮辱するものが出てこない。
キースだって仲間の命が大切だったからあんなに真矢ちゃんを憎んだんだもんなー。
フェストゥムも生命の侮辱冒涜はしてないんじゃ?って思うけど描写がなかったのか私が読み取りきれなかったのかちょっと今はわかんない。

そしてアルゴス小隊が食べたのがフルーツだったというのは、ファフナーにおけるフード観点から見て面白いなあというところ。

『蒼穹のファフナーEXODUS』における「人間らしさ」とは何か――という記事を書いたんだけど、まあここでの考察は概ね演出意図に沿えてるんじゃないかなあと思う。一解釈の発掘だけど。
簡単に言うと「ごはん」は命を保つための不可欠要素で「おやつ」は平和を享受するための余剰の要素だよって話で。

9話、12話では、ぎりぎりのところで生きて戦っている竜宮島部隊、ナレイン部隊たちとは違う新国連上層部の余裕を表現するために命を保つごはんじゃダメで、でも平和文化は持ってないからおやつでもダメで。
間を取ってフルーツだったんだろうな。
ワインも上層部御用達ですね。元はフルーツだし。


そんでなんかこないだこの記事が微妙についったーで広まって私のTLにも流れてきたので嬉しくてエゴサしてたんですけど、そこで「料理を人に与える一騎は人間らしさを守る役割も持ってるのか」って反応を見かけてなるほどなあと思って。
見てみれば結構あるよね。

1話ランチ準備、3話一騎カレーと出前、13話真矢ちゃんにコーヒー、14話鍋ぐるぐる、19話乾パン水。

人間でいてくれな守るからなっていう一騎さんの祝福……。?というのは少し違うかな。
15話で真矢ちゃんに何も与えられなかったのはあそこで緊迫感を崩してはならなかったのと真矢ちゃんの人間らしさが揺らいでいたからか。
逆に"自分で"覚悟を決めた19話は食べられる、と?
って思ったけど別に食べてはねえな……。
19話以降食べる描写入れる隙なかったけどどうなんでしょうねえ。


総士の人間らしさは度々主張されていて、1話カレー、3話出前、5話コーラ、10話コーヒー、12話配給、14話コーヒーと食べる描写は多彩。

で、一騎はというと10話で楽園ブレンドを飲んで、12話でキャンプの配給を食したのみ。3話で味見はしたけど顔隠れてたし自分のための食ではない。
ここでフード理論2「正体不明者はフードを食べない」が出てくる。

いやーほっとしたよね10話飲んでくれてね。
存在どこいっちゃうんだと思ったもんね。
決め手は9話で正体が定まったからですね……。
ずっと自分の生き方を迷っていたけど「守るよ、みんなを。それが俺の、祝福だ!(ソノトキッ」でやっと一騎の正体判明して英雄になったのだ……。
だから平気で12話食べてくれてよかったーって思ったけどもその後一切なしかよ!w
一回素裸になったもんね。新しい役割を得て人間やめたもんね……。はい。


フード理論から見たらそんな感じなのかな~。


上の記事を踏まえた上で後半クールの話をするなら、まあ、まずあめなんですけどもうこれはカノンが心を持っていけたということなので他には言おうようない……。
記事内で「人としての姿や心」と「心」を曖昧にしてしまったのは失敗だったかなーと。
たとえ人としての姿が保てなくなっても島の平和文化が「心」だけは守ってくれる――っつうことなのかなー。今あんまり深く考えてないけど。
美三香の●を見る限りな。
んーでもここはよくわかんないな。

改めて上の記事読んでみて思ったけど、一騎、おやつ食べたりシャワー浴びたりしないんだよ、うん。
最初から最後まで戦士であったということかね。平和を選ばない人なんだという。
真矢ちゃんは自身を「平和を捨てられる」と言ったけど、実際捨てたのは15話からで(ファフナー的に重要な「自分で選択して捨てた」のは18話からで)、だから14話はぎりぎり平和を享受できた最後のシャワーシーンだったということですかねえ……。
今『azul』聴くとこれ14歳真矢→20歳真矢への曲だと思えてぎゅっとくるわ……。
美羽も寝て食べるけどおやつ風呂はなくて希望の象徴であることが見て取れる。
あと気づいたのは16話で島に辿り着く前に爆破されてしまったパイロットが「島に帰ったら熱い風呂に入る」って楽しみにしてたのにかなわなくて、そのあと彗ちゃんがなんの疑問もなくシャワー浴びている、そこで吐くって結構皮肉だな……。
いやそんな強い意味ではなかろうけど。


追記。
こんだけフードフード言っておいて福田里香さんの著書自体は『まんがキッチン おかわり』しか読んだことなくてこないだやっと『ゴロツキはいつも食卓を襲う』のほうを読んだのでそこから気づいたこと。

・水は一番必要不可欠なフードだというテンプレ
言われてみればそうだ……体の70%……。
コミュニティの場所を選ぶ際に水場を重要視したと冲方さんは言ったし竜宮島と島外とで水の扱われ方の対比はしてたし総士もわざわざ「僕らは水も命も平和も譲ってもらってる」と分けて言ってたけど、なんかそこまで水が重要であることは伝わらなかった気がする。
例のエゴサ(なんか韓国のファフナーファンサイトからのアクセスも多かったのでそこのコメント欄まで見たんだ……)で食事と睡眠ばかりに注目されて私の観測範囲内では「水」への言及なかったからというのもあるんだけど……。
福田さんは「末期の水が間に合わないことで命が消える象徴となるのがひとつのフードテンプレ」と言ってたけど、旅の行程でそういう描写があれば旅の過酷さが際立ったんじゃないかなと思った。
逆に言えばそういうテンプレを採用しなかったわけで、つまり「水」は命を保つ必需品として描こうとしてなかったってことなのかしら。
ジュースやコーヒー等、他の液体はフードだったけど。

・みんなで食べると美味しいというテンプレ
これは彗ちゃんが言ってたし私も「テンプレきた~」って思ってたけど、改めて振り返ると一人で食べてたのって彗ちゃんくらいしかいないんだよな。
コミュニティを描いてきて、一人で食べる「孤独」な人はいなかった。鏑木家も改善した。
……そこで、カノンだよ……。
最期のカノンは一騎と「ふたり」で生きる選択を捨て一人であめを含んだんだ……。

・食はエロスに近いというテンプレ
自覚的な粘膜接触で快楽を伴うのは食事と性行為しかない、なるほどなーと。
しかしファフナーに性の影はないんだ。(だから乳揺れとか里奈尻とか浮いてると思うんだよな……話に絡む描写ならまだ譲歩しようと思えるんだが)
食欲・睡眠欲ときたら性欲が常道なんだろうけど私は性欲と性交と出産と種の保存を一緒くたにしたくないし種の保存を本能と言われるの嫌いだから何度でも言うけど本当に「継承」を別の形で描いてくれて感謝してるよ……。
で、だから食とエロスはもちろん関連づけられることなく。
あめは一騎が作ったものですらないから徹底的に性の隠喩になることを拒否していて感心するなって。
ささやかすぎるよ!カノンの想いささやかすぎるよ!!
失恋するから性の代替として食を満たしたのではなく、「ありがとう」「さようなら」、「すきだよ」の想いの結晶としてのあめを舐める行為はどこまでも清らかだよな……美しいな……。
エロスを盛り込まないEXODUSフードのなかで一番エロに近いのはどう考えても浜辺デートだったと思うと興奮しませんか。いや同意は求めてない、私は興奮します!
浜辺デートは隠喩の局地だと今も思っている。
あっでも関係性としてではなく直接的にエロいのは芹ちゃんの「食べたいの」かね。

・お菓子はファンシーさか誘惑や欲望の象徴というテンプレ
ファンシーでも誘惑欲望快楽でもないよなあ、ファフナーにおけるおやつ。面白いね。
お菓子が平和の象徴ってもしやテンプレではない?と、オルフェンズ見てて思った。
けれどもアイコンとして共通するのはやはりその「嗜好性」であると。
それが平和の象徴になりうるのがファフナーらしい。

・フードで他愛もないギャグをする人は憎めないというテンプレ
これ読んでぱっと総士が浮かんだわ。
初っ端1秒で遺言かましてつらつら戦況を述べてきて、さてそいつはどんな奴だって思わせたら「料理というものを教えよう!」ってたしかにテンプレ的わかりやすいキャラ紹介だな。
思えば無印でやっっと腹を見せたのも11歩自販機のときだ。





まあ、なんというか、こういう考察めいたこと書いてしまうと普通のまとめ感想が書きづらくなるな……。
あとまだ全然俯瞰できてないと思うし。
まあそれはゆっくり噛み締めていくことにするよ……。
本当に楽しませてもらいました。ファン冥利に尽きる、続編。
私はまず間違いなくEXODUSなかったらここまでファフナーにのめりこむ機会なかっただろうしね。
なんだかすっごい好みですっごい面白いアニメがあるぞ!って3、4周くらいはしたけどここまで深く追おうとは思わなかった。
いい出会い方をしたなあ。ありがとうございました。本当に。


とりあえず感想らしきこと。

好きなEXODUS新キャラ:エメリー
絶対エメリー。まだ彼女については消化できていない。

好きになった既存キャラ:真矢ちゃん
前も好きでなかったわけではないけど18話からこっちは本当に興奮の連続だったね……真矢ちゃんのエゴが確立されて貫きとおして最後に静かに肯定される……。
美しかった。
あと芹ちゃんもなかなか。

好きな脇キャラ:ハインツ笑
喜安さんが演りたがるのわかる笑
あの雑魚モブ感と棒風味の声が好きでした。

好きな機体:マークザイン
なんだかんだザインかなあ……ちょっと震えたりしゅっと立ってたりするのがかわいいしかっこよい。3Dとかはよくわかんないけど毎回すごい熱量だったね。むしろキャラ原画は使い回しばっかだったのに機体はほとんどなかったもんね。
15話ジーベンが一番印象的だったかなーかっこよくて。
エインヘリアルアハトの色も綺麗だったな。

好きなフェストゥムディアブロ
まあしゅっとしててかっこいいよね。スフィンクス型とかなんかごつくなってかわいくなくなったし。
串刺しめっちゃ怖かったけどニヒトに翻弄されたり後半ニヒトに技だけパクられてほぼ空気だったりかわいい。

好きな回:12話
絵コンテ演出が好きで胸が締め付けられる回といえば12話なんだよなあ……珍しくキャプ抽出までして。(「円盤出たらキャプ差し替えよう」って言ってたけど結局面倒だったのと総士の作画修正前のほうが好きなのとでやめた)
17話とか26話とかはちょっと別枠というか好きとかそういう感じじゃないし判断つかないやつ、な……。
1話単位での完成度に惚れ惚れするのは14話と18話かなあ。

好きなシーン:
いや選べるわけねーよ笑
一番の萌えの衝撃は「出前♡」ですけども他は何を基準に選べばいいのかわかんない……。
あーでも一番興奮したのは18話ラストかもしんない。
私の理想のリバ!!!絶望的と思われた極端な精神的不均衡を対等を目指して積極的にひっくり返す!!!

好きな演技:
19話暉の「早く来ないかなあ」と真矢ちゃんの「あたしも知りたい」かなあ……あれはすごかった……。
25話一騎「還りな」17話ラストの一騎も好き。1話の「総士!」も。
1話「もうすぐだね、エメリー」26話「エメリー!!」も……。
諸星すみれさんほんと凄い突き刺さるからこわい……。

好きな台詞:
意外と台詞単体は浮かばないな……。
「いるって信じてた。絶対に。絶対に私の空想なんかじゃないって」はエメ美羽に落ちたところなのではずせないかなあ、くらい。
これだけでエメリーの不安と切望と安堵がいっぺんに迫ってくる、なんというか洗練された台詞だよなあ。
あ、9話ポエム好きです……平和とはなにかという提示と、「ただ奪われないために奪い続けた」という悲哀。

好きなカット:
12話のこれかなあやっぱり。
(『蒼穹のファフナーEXODUS』12話)

この一瞬の情報量と面白いコップの使い方と他に見ない構図と極めつけに一騎の下瞼最高!!

好きな指:
12話で総士の手を振り払う一騎の指ですね!!!
(『蒼穹のファフナーEXODUS』12話)
(『蒼穹のファフナーEXODUS』12話)

(こちらも捨てがたい)
24話の目覚めはちょっと至高すぎるんだけどそれを挙げるのはなんかずるい気がして……。
指の間フェチなのでこれはわりとはずせなかった。(上の記事であめを置く一騎の手ががっつり入ったとこキャプったのはそのせい……)
あ、2クール目キービジュの指も好きです……。

好きな曲:
うーーーーん……。
大いに映像補正があるような気がしないでもないが『DEAD OR ALIVE』かなあ……。
最後の「♪痛い 痛い 君と蒼穹へFly」、毎回本編入る前にめっっちゃぎゅーって心臓掴まれる切ない痛みがあったからもう大変だった。

好きなBGM:
9話『その時、蒼穹へ』はやっぱ最高だよね……。
あと19話甲洋復活のHAE劇伴と『ホライズン』の繋ぎ方がすっごい好き……。

好きな背景美術:
これ!めちゃくちゃ好き。
(『蒼穹のファフナーEXODUS』10話)

綺麗な蒼穹はうーん9話のザイニヒ到着のところか22話役者揃った戦闘シーンか……。
あっ俯瞰の竜宮島!!好きです!!沈んじゃったけど……。

好きなフード:
単純にメニューと見映えが美味しそうなのは4話の水鏡家の激励海鮮類食卓と11話立上家の織姫歓迎食卓かなあ。
鯵の干物冷奴漬け盛(織姫ちゃんだけ天麩羅だし巻き煮物)美味しそう食べたいーー。
竜宮島は基本的に海の幸中心の食卓なんだよね。食糧プラントの情報出ましたがどういうものなのかよく知らぬ。
牛とか豚とかいるのかなあ。
チキンソテーらしきものはあったしハンバーグも出てきたからにはいるっぽいけどな。
住民の家は和食中心、アルヴィスは洋食中心、楽園は世界各国?って感じだったかなあ。たしか。

演出的に好きなのは4話の「勝利」涙ケーキと11話水鏡家ケーキが遠ざかってくシーンと16話彗ちゃん用おかゆかな。
平和の象徴に戦闘祈願を描いて親の愛悲哀人間味を混ぜ混む御門昌和、できる。
美三香のSDPが平和を遠ざけていく、という演出。
オルガさんの遺体を目の当たりにして胃が弱ってる彗ちゃんを気遣える程度の親の情はあの時点であった香奈恵さん。(結局この解釈を採用した)

能戸さんのついーとで気づいたけどおかゆじゃなかったチャーハンだった!!!



一通り……そんな感じだろうか……。
なんかこんな感想にするつもりでは全然なかったんだけどなまじ群像劇で言及すべきところが多すぎるばかりにどこにも触れられない事態に。
とりあえず私は考えるの楽しかったからよしとしよう。

あ、ファフナーにおける異性愛至上主義の破壊について、という話は既にprivatterのほうにまとめているんで(フォロワー限定公開)もうここでは言わない。(気づいたら1万字近く書いていた自分に引いた……)
アクセス数が落ち着く一ヶ月後くらいにこちらにもリンク貼っておきますかね。

追記。
ファフナーと異性愛至上主義について
……貼っておく。

なんかねえ、振り返ると凄い数の人がいなくなって……。
それをまた残された人たちは抱えて生きていかねばならなくて。
悲しくて、つらくてきつくて、暗いんだけども絶望だけじゃなくて絶望にしてはいけなくて新たな希望を紡いでいかねばならなくてさー……。
このへん考えると本当にどんどん泣けてくるから嫌なんだけど向き合わなきゃなあ……だって彼らが向き合っているんだものね。
うーん……大好きだよ、ファフナー
それだけでいいか……。