真昼の淡い微熱

感想ブログ

ロングピリオド/古矢渚

久々に……きましたね……!
良いBLが。
古矢さんの熟成片想いものにはずれなし。

それでも1話時点では『群青のすべて』の二番煎じかなあ、読み返そうかなあと思っていた。
1話の構成も似てるし。
でも樹の優秀さエピソードに兄を絡めて引きを作って、ふたりの関係に微妙な空気感と駆け引きを提示したあとにおててカイロはドキドキするし惹きこまれるよ。

時折熟成ものBLが読みたい発作が起きるのでこのまえ『カタコイシーソー』『親友の「同棲して」に「うん」て言うまで』を手に取ってから表紙見比べてみたけどなんか私じっとりと目で焦がれる黒髪男が見たいんだな……。
でもその二作は別に特に気に入るところもなかったから、古矢作品の秀逸さが光る。
あと、恋焦がれる人を見て小説が書きたくなる衝動て、結構変態だしキモいと思うんだけど、そういう男が好きですね。
安達としまむら』とかは見てて普通にドン引きするから……BLの好みなんでしょうね。

佑征がなにか踏み出そうとしてくるときに探るような真顔になる樹、本当は待ってるんでしょう、うれしいんでしょうと、二回目読んでて思った。
探ろうとしてるからそういう顔になるけど佑征が隠そうとしてるのと同様に樹も隠してしまうんだろう。
こんなに誘ってるのに……何度も何度も……。
誘い受け」がここまで綺麗に当てはまるBLを読んだの初めてかも。
樹、全部佑征に対して「言わせる」「させる」をスタンスにしていて君の望みを叶えているがいつの日か塩対応煽りじゃなくてちゃんと言ってほしい~いやでもまだこれでいいけど。
続き読みたいなって思う久々のBL。
想定を超えた佑征の衝動に焦り驚く樹も好きなんだけどそのへんを描写する匙加減が好きですね。
モエポイントとしては描写してるんだけど「モエですよ!」ってアピールする絵にはなってないところがよい。

古矢作品のエロのないところが好きだったから、付き合ってからのお部屋シーンは「えっ見ていいんですか?」とか複雑な思いが。止まってくれてほっとしたような残念なような。
『君夏』シリーズも一応そういうシーンはあったんだな。でもこのくらいがちょうどいいよ。
ああいう純粋受けよりは今作のような考え込むタイプのカプのほうが好き。
隠してる気持ちバレちゃってるの好きだな。

あ、ただ唯一電車のホームのシーンはちょっと構成どうにかしてほしかったかも。
佑征さん、篠原さんの告白にOK出しといて好きな人にその態度……!?って思っちゃったから。